毎日英語を勉強しているのになかなか成果が出ない
オススメされた勉強法で英語を勉強しているけど、本当にこのやり方でいいのかな
英語の勉強法を調べてもたくさんありすぎてどれを参考にしたらいいのかわからない
このようなお悩みを抱えていませんか?
大学1年生の頃の私、ヒロキがまさにそうでした。
当時はがむしゃらに英語を勉強していたのですが、学習の成果を全く感じられない日々が続きました。
そこで出会ったのが「第二言語習得論」という学問です。
第二言語習得論を学び、その知見を自身の英語学習に落とし込んだ結果、海外経験なしで英検1級合格やTOEIC900点越えを達成するほどの英語力を身につけることができました。
今となってはアメリカで言語学専攻の大学院生として研究に従事している私ですが、第二言語習得論に出会わなければ今の自分はなかったと思っています。
この記事では、英語を学んでいる方々向けに、英語学習を効率的にするために知っておくべき学問である「第二言語習得論」を解説していきます。
学問と聞くと「難しそうだな」と思われるかもしれませんが、必要最低限のことをわかりやすく解説していきますので安心してください。
第二言語習得論とは?
第二言語習得論は「人間が第二言語(外国語)を学習する際のメカニズムを科学的に研究する学問」です。
「第二言語習得研究」や単純に「第二言語習得」と呼ぶこともありますが、この記事では「第二言語習得論」で統一していきます。
ちなみに英語だと「Second Language Acquisition」なので、英語では「SLA」と呼ぶことがほとんどです。
以下で学問としての第二言語習得論を見ていきましょう。
第二言語習得論の学際性
言語学習は日本語と英語の違いや学習者のモチベーションなど、多数の要因に影響を受けます。
この事実から、第二言語習得論は以下のような複数の専門領域の知見を統合した学際的な学問となっています。
「認知心理学」:記憶や感情のような人間の認知機能を研究する
「脳科学」:人間の脳の構造や機能を調べる
この学際性は応用面にも当てあまり、第二言語習得論の研究成果は英語の教授法、言語教育の政策立案、人間の言語習得を模したAIの開発など、幅広い分野で活用されています。
もちろん、第二言語習得論の研究で得られた知見はこの記事のメインテーマである「英語学習」にも応用することができます。
第二言語習得論で研究すること
インターネットで「英語 勉強法」のようなキーワードを検索すると、様々なブログ記事や書籍などの情報が得られます。
そのような情報の多くが英語学習に成功した人たちの個人的な経験に基づいているものです。
もしかしたら記事の読者の方の中には、それらを参考にしながら英語を勉強している方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、英語の達人たちの勉強法は誰にでも当てはまるものなのでしょうか?
彼らの勉強法は独特すぎて他の人には合わないかもしれません。
さらに、英語学習に成功した人たちはそもそも超人的に自頭や記憶力が良かった可能性があります。
そうだとすると、同じような素質がない限り、彼らの勉強法は役に立たないということになります。
このように多角的に考えていくと「ある個人の経験に基づく勉強法が必ずしも他の人に当てはまるわけではない」ことがわかります。
第二言語習得論の研究では個人だけでなく、たくさんの学習者のケースに目を向けることによって、効果的な学習法を調べています。
例えば、AとBという2種類の英単語学習法があったとします。
これらの学習法のどちらに効果があるのかは、数十人の人たちで構成された2つのグループにそれぞれ別々の学習法を試してもらい、単語の習熟度を比較することで検証することができます。
さらに、この実験に参加している人たちひとりひとりの記憶力や適性能力などを測定することによって、ある個人にとってAとBのどちらの学習法が最適なのかを調べることもできます。
以上のように第二言語習得論の研究では、ある学習法の妥当性や個人差を考慮した最適な学習法を科学的に検証しています。
英語学習者が第二言語習得論を知っておくべき2つの理由
この節では、私たち大人の英語学習者が第二言語習得論を知っておくべき理由を2つ解説していきます。
理由1:信頼できる学習法を見つけることができる
英語の勉強法をインターネットなどで見つけて「本当にこれって効果があるのかな?」と思ったことはありませんか?
実際に自分で試してみて効果を確かめることもできますが「うまくいかなかったら時間の無駄になってしまうから手を出しにくい」というのが本音だと思います。
こういう時は迷わず第二言語習得論の研究に支持されている学習法を採用してください。
第二言語習得論の研究は大学や研究機関に所属するプロの研究者によって行われています。
そして研究者が論文や書籍として研究結果を開示する際には他の研究者による厳しい審査があるため、私たちの目に触れる研究成果のほとんどが信頼できると言えます。
皆さんは科学的根拠のない学習法とプロの研究者によって検証された学習法のどちらを信じますか?もちろん後者ですよね。
理由2:英語を意識的に学習できるようになる
みなさんは日本語を習得する際に苦労をしましたか?筆者を含め、ほとんどの方が日本語を習得した時のことは全く覚えておらず、気づいたら日本語を話していたかと思います。
一方、英語の学習にはそれなりに苦労をされているのではないでしょうか。
なぜ、母語としての日本語の習得と外国語としての英語の学習にかかる労力には違いがあるのでしょうか?
この問いは脳科学の知見を基に答えることができます。
人間にとって「言語」を習得することはとても重要です。
というのも、言語は他者との意思疎通や協力の際になくてはならない必須の能力だからです。
言語が習得できないと、他の人間とスムーズに関わることができなくなるため、生存確率が下がってしまいます。
よって、言語を習得する前の人間の幼児は言語習得に特化した機能を持つ脳を持って生まれてきます。
この「言語脳」によって、幼児はスポンジのように周りで話されている言語を吸収して習得することができるのです。
残念ながら大人の脳は言語習得に特化していません。
なぜなら、生存目的のためであればひとつの言語を習得したら別の言語を習得する必要はないからです。
よって、人間は大人になるにつれて言語習得に特化した脳機能を失っていきます。
この「言語脳の欠如」がまさに大人の言語学習の困難さの原因となっているのです。
では、私たち大人は言語の学習を諦めたほうがいいのでしょうか?
答えはもちろんノーです。
大人には言語習得に特化した脳がない代わりに「意識的に学習する能力」があります。
言い換えると、大人は幼児と違って自分で考えたり試行錯誤をしたりして言語のような能力を獲得する術があります。
実際、ある第二言語習得論の研究によると「短期間であれば幼児よりも大人のほうが言語学習のスピードが早い」ということがわかっています。
第二言語習得論を学ぶことは「意識的に学習する能力を最大限に発揮する」ことを意味します。
この幼児にはない大人の特権を活かさない理由はないですよね。
以上のように、英語学習者にとって第二言語習得論を知ることはメリットがあります。
第二言語習得論の研究成果を理解し、日々の英語学習を効率化していきましょう。
第二言語習得論で英語学習の効率が良くなるコツをマスター!
これまでは少し抽象的なお話が続きましたね。
そこでこの節では、この記事を書いている私、ヒロキの実際の経験を基に、第二言語習得論の知見を活かした英語学習法の具体例をひとつ紹介します。
非効率的な英会話勉強法
大学に入学したての頃、私は英語を話せるようになりたいという思いから、オンライン英会話のレッスンを受講しはじめました。
当時の私は安易にも、毎日30分ほど講師の先生と英語で会話をしていればすぐに英会話が上達すると思っていました。
大学受験の経験のおかげで根気だけはあったので、3ヶ月ほどほぼ毎日英会話レッスンを受け続けました。
しかし肝心の英会話能力はというと、自分の思ったようには伸びていませんでした。
当時の私は英会話レッスンを毎日受けていたものの、レッスンの準備や復習は特に工夫していませんでした。
具体的には、毎日講師の先生と英語で会話をし、ぼんやりと頭の中でレッスンを振り返るという感じです。
結果的に自己紹介や好きなものの話のような簡単な英会話はできるようになったのですが、少し話が複雑になるとスムーズに言葉が出てこなかったです。
第二言語習得論の研究:「気づき仮説」
そんな効果のない英会話学習を続けていた私が出会ったのが第二言語習得論で提唱されている「気づき仮説 (noticing hypothesis)」です。
「気づき仮説」は、アメリカの言語学者であるRichard Schmidt(リチャード・シュミット:1941-2017)によって1990年に提唱された仮説です。
この仮説の起源はシュミット自身のブラジルでのポルトガル語学習の経験に遡ります。
ブラジルで会話練習を含んだ5週間のポルトガル語コースに参加していたシュミットは、コースを通して学んだことを毎日日記に記録していました。
コース終了後にその日記の内容と定期的に録音していた会話練習を照らし合わせたところ「日記で言及されていた文法規則は会話練習の中で頻繁に使われている傾向がある」ことが判明しました。
シュミットはこの経験を基に「学んでいる言語の語彙や文法などの特徴は自分で意識的に注意を向けて気づいた時のみ、習得することができる」という「気づき仮説」を提唱しました。
この「気づき仮説」をシュミットの学習経験に当てはめると、日記という意識的かつ注意を向けた活動を通してポルトガル語の文法の特徴に気づくことにより、文法規則を習得することができたと言えます。
「気づき仮説」はシュミットによって提唱されて以来、多数の実験研究で妥当性が確かめられてきたため、信頼に値する仮説であると言えます。
この仮説の有効性を確信した私は、日々の英会話学習にこの知見を落とし込むことにしました。
「気づき仮説」を活かした効率的な英会話学習
まず、「気づき仮説」を提唱したシュミットのように、私も講師の先生の承諾を得てオンライン英会話のレッスンを録音することにしました。
復習として録音した会話を聞き直す際に意識した点は以下の通りです。
・「こう言えばよかった」と思ったところ
・講師の先生が使っていて自分が真似できそうな「単語」や「言い回し」
私はこれらをノートに記録しておき、通学時間などの空き時間に見返すようにしていました。
この学習法では、「自分の英語に足りないものに意識的に注意を向け、それらに気づく」ことを実践しています。
この「気づき仮説」の知見を活かした学習法をはじめて以来、それまでとは比べものにならないほど英会話が上達しました。
その証拠に、大学2年生になってから受けた英検一級の面接試験は一発合格しています。
以上のように、第二言語習得論の研究成果は日々の英語学習の中に簡単に落とし込むことができます。
みなさんも「気づき仮説」を日々の英語学習に活かし、その効果を実感してみてください。
まとめ
この記事では「第二言語習得論とは?」と「第二言語習得論を知っておくべき2つの理由」を解説し、「第二言語習得論の知見を活かした英語学習の例」を紹介しました。
英語力を上げるためには、継続的な努力が重要なのは言うまでもありません。
しかし、それと同じくらいかそれ以上に「正しい方法で学習する」ことが重要です。
第二言語習得論の研究成果を理解することによって、真に効果的な英語の学習法を見つけることができるようになります。
第二言語習得論の研究は今こうしている間にも世界中で精力的に行われており、毎日のように新しい研究成果が発表されています。
今後も最新の第二言語習得論の研究成果を活かした英語学習法を解説していきますので、楽しみにしていてくださいね!
また別記事でも英語学習の効率アップに使える考え方をご紹介していますので、合わせてご参考くださいね。
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