こんにちは。英文法研究者のしゃっちーです。
昔英国に住んでいた頃の経験から英語の文法や言葉の成り立ちを研究していて、その知識で中高生や英語を学び直したい社会人に向けて、英語教室を開いたりもしています。
そんな英語教室に来る受験生はもちろん、社会人の人からもよく言われるのが「不規則動詞が覚えられない!」という悩みです。
そもそも種類が多すぎる!
活用がバラバラで、覚えられない!
受身形や完了形でも使うから、テキストの内容が理解できない…
中学校の教科書で活用表一覧共に出てきて、一気に苦手意識を持つ人も多いのも事実です。
go-went-goneってなんだよ…と私も思いました。
しかしそんな不規則動詞ですが、実は分析すると似たような形に変化するグループにいくつか分ける事が出来ます。
そこで今回は、この「不規則動詞」の活用パターンや覚え方を、ちょっとした小ネタも入れながらご紹介します。
そもそも英語の「不規則動詞」とは?
不規則動詞とはその名の通り「原形・過去形・過去分詞形」が不規則な変化をする動詞の事を指します。
その反対の「規則動詞」というものもあり、これは「play-played-played」と、動詞の後ろに-edをつけるだけで過去形・過去分詞形を作る事が出来ます。
最も有名で最も複雑な変化をするの不規則動詞が「be動詞」です。
原型(現在形) | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|
ここまでいろんな形に変化する動詞は他にありませんが、他の動詞も-規則動詞よりは複雑な活用をします。
原型 | 過去形 | 過去分詞形 |
---|---|---|
これも不規則動詞の一例です。
形が大きく変わるものから、全く変わらないもの、変化したのに元に戻るものと、様々な変化が見られます。
こんなリストを見てしまうと、覚えられる気がしないというのも頷けます。
しかし!そんなのはネイティブだって同じです!
これを言う驚かれる事が多いのですが、言葉は毎日使うので文法は出来るだけ簡単な形に進化していきます。
この一見不規則に活用するように見える不規則動詞にも、いくつかのパターンがあります。
次からはそんな不規則動詞を、覚えやすい様にいくつかの型に分けていきたいと思います。
英語の不規則動詞の変化表一覧でマスター!
不規則動詞は大きく分類すると、4種類+1種類の5種類に分類できます。
ここではそれぞれの分類と、もう少し細かく分類した形をご紹介します。
「+1種類」が何かは、後程。
全て同じパターンの「A-A-A型」
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
A-A-A型とは、原形-過去形-過去分詞形で形が変わらない不規則動詞の事を指します。
比較的短くてカタカナ読みする「プット」「カット」のように「ッ」が入ると動詞に多い傾向があります。
readは「リード[ríːd]」では?と思う方もいるかもですが、実は過去形・過去分詞形は「レッド[red]」と読むので要注意。
もちろんthrust(押す:スラスト[θrʌ́st])のような例外もあります。
過去形のみ違うパターンの「A-B-A型」
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
A-B-A型は一度過去形で形が変わった後、過去分詞形でもう一度原形と同じ形に戻る動詞の事を指します。
上の表を見て「ほとんどcomeでは?」と思った方は、鋭い洞察力を持っていますね。
そんな洞察力を持っている方が陥りやすいのがwelcomeの罠です。
welcomeは規則動詞(welcome-welcomed-welcomed)なので注意しましょう。
しかも”Thank you”と言われた時の返事 “You’re welcome”は過去分詞形welcomedにならないので、これも注意が必要です。
(このwelcomeは文法的には形容詞です)
原型のみ違うパターンの「A-B-B型」
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
A-B-B型は過去形と過去分詞形が同じ形になる動詞の事です。
この型に当てはまる動詞は多いですが、全てが当てはまる訳では無いもののある程度はパターン化して覚える事が出来ます。
原型が- ayで終わる不規則動詞 → -aid -aid
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
3種類しかありませんが、-ayで終わる不規則動詞は-aid – -aidという活用をします。
stayは規則動詞(stay-stayed-stayed)なのでここには当てはまりませんが、大昔はstaidと活用していた様です。
ここではどちらかと言うと発音に注意が必要です。sayは「セイ[sei]」と発音しますが、過去形・過去分詞形のsaidは「セッド[séd]」と発音し、他はpaid(ペイド[péid])、laid(レイド[léid])となります。
過去形で形・発音が大きく変わる動詞(-ought, -aught, -ound 等)
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
少し漠然とした分け方に感じるかもしれませんが、原型と過去形で単語の形や発音が大きく変化するものは、過去分詞形も同じ形の事が多いです。
一度思いっきり変えたものを、もう一度変えたくはないですよね。そういう事です。
具体的に言うと、過去形が原型の頭1-2文字だけ残して-aught, -ought, -oundと変わる動詞は、過去分詞形も同じ形になります。
この型に当てはまる動詞は結構あるので、覚えてしまうと便利です。
上の表から「hear-heard-heard」は全然形が変わっていない様に見えますが、こちらは発音が全く違います。
hearは「ヒアー[híɚ]」と発音しますが、heardは「ハード[hɚːd]」と発音します。
他の型で先に挙げたreadやsayも発音が大きく変わるので、同じ様に考えられますね。
ここでも一つ注意が必要です。
過去形が-oundで終わる動詞は過去分詞形も-oundですが、原型が既に-oundで終わる動詞は規則動詞です。
(found(創設する)-founded-founded), wound(傷つける)-wounded-wounded)
原形が他の不規則動詞の過去形と同じ形をしているので、気をつけましょう。
過去形の語尾が-t,-dで終わる動詞
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
ここまでA-B-B型の動詞を見ていて気づいた方もいるかもですが、この型の動詞は過去形が-tや-dで終わる事が多いです。
特に原型に含まれていなかったのに、過去形になるとどこからともなく-tや-dが語尾に現れる動詞は、過去分詞形も同じ形になる事が多いです。
hearやpayもそう考えれば同じですね。
なお上の表にあるmeantは「メント[mént]」と読むので気をつけましょう。
原型から途中の文字が無くなる動詞
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
多くの不規則動詞は過去形になっても文字数は同じか増える傾向がありますが、中には減るものもあります。
その中で原型の途中にある文字が過去形では無くなる動詞は、過去分詞形も同じ形になる事が多いです。
ただし違う法則が優先される動詞がありますので。
それは後で触れますね。
全てのパターンが違う「A-B-C型」
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
いよいよ来たな!という感じですが、原型・過去形・過去分詞形がそれぞれ違うA-B-C型という動詞があります。
ただこれも全てではありませんが、いくつかの分類に分ける事が可能です。
原型から過去形でaに変化する → 過去分詞形はuに変化する
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
原型の一部が過去形でaに変化する動詞は、過去分詞形でuになる事が多いです。
そういえば先程A-B-A型でrun-ran-runを紹介しましたが、実はこの分類にもなります。
という事はやっぱりA-B-A型はcomeだけでは?というのは実に鋭い洞察力です。
発音について、細かいですが重要な注意点が1つ。
aとuの発音はカタカナ発音だとどちらも「ア」ですが、sang(サング[sǽŋ])- sung(サング[sʌ́ŋ])と発音記号が違います。
この違いを文字で書くのは非常に難しいので、教材やYouTubeなどで音を聞いてみる事をおすすめします。
過去形が-ewと変化する → 過去分詞形は-wnと変化する
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
過去形が-ewという形で終わる動詞は、過去分詞形で-wnとうい形で終わる活用をします。
過去分詞形になると-wnの前にある文字が変わる(多くは原型に戻る)ので注意しましょう。
この分類に近い動詞にshow(見せる)があります。
showは過去形がshowedなので規則動詞だと思っている方も多いかもですが、過去分詞形がshownになります。
show-showed-shownなので、これもA-B-C型になります。
過去形が-o-子音-eで終わる → 過去分詞形は-enで終わる
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
急に複雑な紹介になりますが、要するに過去形の語末でoとeが何か文字を挟む形だと、過去分詞形は-enで終わる事が多い、という法則があります。
eatの過去形ateだと、aとeでtを挟んでいますね。
先程A-B-B型で「過去形が短くなると過去分詞形は同じ形」という分類がありましたが、chooseはこちらに入るので注意しましょう。
過去形で-oに変わる → 過去分詞形で-enで終わる
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
過去形で途中がoに変化するものは、語尾が-enになる傾向があります。
形としては一つ前に紹介したものと殆ど同じですが、この活用をする動詞は発音に注意する必要があります。
原形のwriteは「ライト[rait]」、driveは「ドライヴ[draiv]」と発音しますが、過去分詞件のwrittenは「リトゥン[rítn]」、drivenは「ドリヴン[drívn]」と発音するように、多くが原型と発音が異なります。
例外がtake-took-takenで、これの過去分詞形は「テイクン[téikn]」と読みます。
法則性のない動詞
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
既にいくつか「例外」として挙げていますが、どういう法則にも当てはまらない動詞というのももちろんあります。
これはこれで仕方がないので、覚えてしまいましょう。
ちなみに「go-went-gone」のwentは、実はwend(回り道をして進む)というあまり使われない動詞の過去形の古い形だとされています。
それが何故かgoの過去形として使われる様になり、現在wendは規則動詞(wend-wended-wended)として生き残っています。
おまけ:アメリカ英語とイギリス英語
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
アメリカ英語かイギリス英語かで規則動詞・不規則動詞が変わる動詞が少しあります。
私達が日本で学ぶ英語はアメリカ英語なので上の3つは「規則動詞」として学びますが、歴史と伝統を重んじるイギリス英語では古い形が残っています。
ちなみにdreamtは「ドレムト[drémt]」と発音します。
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
同じ様にgetとhideもアメリカ英語とイギリス英語で異なる形をしますが、こちらはアメリカ英語のほうが複雑な変化をします。
先程挙げたbiteはアメリカでもイギリスでもbite-bit-bittenなので、気をつけましょう。
英語の不規則動詞変化表まとめ
最後に、英語の不規則変化動詞の活用表をまとめましたので、ご確認ください。
原型 | 過去形 | 過去分詞形 | 意味 |
---|---|---|---|
また、こちらの動画「規則動詞と不規則動詞の違いをめっちゃわかりやすく説明しちゃる」でも、英語の規則動詞と不規則動詞の違いを解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
まとめ
不規則動詞に「覚えるしかない…」と苦手意識を持っている方にもたくさんおられますが、今回ご紹介したとおり全てバラバラに変化するという訳ではありません。
まずは今回ご紹介した型や分類から覚えてしまい、動詞を見た時にどの分類に当てはまりそうか推測する方が、覚える量も減って初めて見る動詞にも対応できるようになります。
不規則動詞に限らず、単語を覚える時には「型を覚える」事が一番効率的な覚え方です。
今回まとめた型や表を見返しながら、少しずつ覚えていきましょう!
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