ビートルズ「ノルウェーの森」は誤訳?英語歌詞・和訳についてもご紹介

ビートルズ「ノルウェーの森」は誤訳?英語歌詞・和訳についてもご紹介

この曲が発表された当時、私は当時中学生で、ビートルズのファンでした。主にラジオ中心に聞いていたのですが、あるときこんなタイトルの曲が聞こえてきました。

神秘的な伴奏と共に、物憂げな歌い方、いままでのどのビートルズの曲とも何か違うイメージの曲でした。
後にこの歌詞を知ったとき、初めの印象とは違う内容だったのに驚いてしまいました。

歌詞の内容は、行きずりの女と一夜を共にし、夜が明けてみると、彼女はいなくなってしまっていた、つまり逃げられてしまったというもの。

タイトルと共に、歌詞の中には”norwegian wood”というフレーズが2度出てきており、この言葉の意味するところが従来から議論の的となっています。「森」は、英語の”wood”に対応する正しい翻訳ではありません。言ってみれば誤訳なんですが、日本語訳の「森」のほうが何かこの曲調に合っている気がしました。

タイトルの邦題は「ノルウェーの森」で、村上春樹の代表作の小説『ノルウェイの森』はこの曲に由来します。むしろ原曲のビートルズの歌より、村上春樹の小説によって、この曲名は全世界に名前が売れたと考えることもできます。

この記事では”wood”とは何だったのか、ほかに議論になっている語句はなかったかということを中心に述べます。
なお、今回の記事は、YouTube動画、「【洋楽で英語学習】ビートルズ ノルウェーの森(Norwegian Wood)で発音・リスニング・英文法をすべて解説【カナ記号・和訳付き】」でまとめていますので、あわせてご覧になってください。

ビートルズの「ノルウェーの森」ができた経緯

ビートルズの「ノルウェーの森」ができた経緯
「ノルウェーの森」は、1965年12月3日に発売された6作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ラバー・ソウル』のA面2曲目に収録されています。

ジョン・レノンが、1965年1月に当時の妻シンシアとジョージ・マーティンと共にアルプス山脈のサンモリッツに休暇で訪れた際に曲を書き始め、翌日に8分の6拍子のアコースティックでアレンジを付けました。

作曲とボーカルはジョン・レノン、伴奏はジョージ・ハリソンのシタール

作曲とボーカルはジョン・レノン、伴奏はジョージ・ハリソンのシタール
作詞・作曲はレノン=マッカートニー名義ですが、主にジョン・レノンによる作品で、リードヴォーカルもジョンが務めています。ただ、歌詞の一部はポール・マッカートニーも書いていて、歌詞の最後の1節”So I lit a fire”の部分がポールによって書かれたものであることを後にジョンが述べています。

伴奏には独特の音を出すシタールという楽器が使われています。

このシタールは約700年前に北インドで生まれた弦楽器で、大きな瓢箪をくり抜いた丸いボディでできており、複雑な倍音成分を含んだ音がこの曲を神秘的に感じさせます。世界中の多くの人を虜にしたこの曲は、シタールの神秘的な音によることが多いと思います。

ビートルズのメンバーの一人で、リードギターを担当するジョージ・ハリソンは、1965年4月5日から6日にかけて、インドのレストランのシーンを撮影した際に、インドのミュージシャンが演奏していたシタールという楽器に興味を持ち、この曲の伴奏に使いました。

この楽器は、ビートルズの「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」(1967年発表のアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・クラブ・バンド』のB面1曲目に収録)にも使われています。ジョージはこの楽器に出会ってからインド音楽に傾倒し、後にシタール奏者のラヴィ・シャンカールに弟子入りしてインドの哲学とシタール演奏法を習得します。

シタールなどインド製の楽器や瞑想(メディテーション)などのインド哲学は、その後のビートルズのサウンドに多大の影響を及ぼしました。

ビートルズの「ノルウェーの森」の英語歌詞・和訳

ビートルズの「ノルウェーの森」の英語歌詞・和訳
原曲の歌詞は次の通りです。

I once had a girl
僕はあるとき一人の少女を引っかけた

or should I say she once had me
あるいは少女のほうに僕が引っかけられたというべきか

She showed me her room
彼女は自分の部屋に僕を招いた

Isn’t it good, Norwegian wood
「この部屋素敵でしょ? ノルウェー製の木でできているの」

She asked me to stay
泊まっていきなよと彼女は言った

And she told me to sit anywhere
そしてどこでもいいから腰掛けてねと言った

So I looked around
そこで僕は周りを見回したけど

And I noticed there wasn’t a chair
椅子などどこにもなかった

I sat on a rug, biding my time
床の絨毯の上に座り、そのときが来るのを待っていた

Drinking her wine
彼女のワインを飲みながら

We talked until two
僕たちは夜中の2時まで語り合った

And then she said, it’s time for bed
そしたら彼女は「ベッドに入る時間よ」と言った

She told me she worked in the morning
「朝に仕事があるの」と言って

And started to laugh
キャッキャッと笑い出した

I told her I didn’t
僕は仕事がないと彼女に伝えたんだけど

And crawled off to sleep in the bath
仕方なく部屋を抜け出してバスルームで眠った

And when I awoke I was alone
そして朝起きると僕一人になっていた

This bird has flown
あの小鳥は飛び去っていってしまったんだ

So I lit a fire
だから火を点けた

Isn’t it good, Norwegian wood
素晴らしいじゃないか、ノルウェー製の家具は

ビートルズ「ノルウェーの森」で楽しく英語学習しよう!

ビートルズ「ノルウェーの森」で楽しく英語学習しよう!
ここでキーとなるのは、記事の最初でも指摘したとおり、”wood”という単語と、”lit a fire”という語句の解釈です。
古来いろいろな解釈がされていますが、決定的なものはありません。

wood

この”wood”という名詞は単数のため、複数形の”woods”である「森」という意味にはなりません。せいぜい「木材」というところでしょうか。あるいはその木材でできた「家具」かもしれません。部屋全体がノルウェー製の木材でできていると解釈することもできます。

ポール・マッカートニーによると、この曲に出てくる少女のように、当時のロンドンでは、多くの人が部屋の内装を木材にしていたそうです。
それを皮肉ってポールは「ノルウェーの木はただの安い松材だよ」と言っています。

安価なノルウェー製木材でできた部屋に案内するところなど、この少女の貧しい生活ぶりがうかがえ、ひいては「僕」をいっぱい引っかけてやろうとしたようにも思われます。

“Isn’t it good, Norwegian wood”
「すごいでしょ? ノルウェー製の家具なの」

この彼女の言葉は、自分の部屋を自慢しているようにも思えます。

終始高飛車に出ているこの少女の言動は、

“she told me to sit anywhere”
「どこにでも好きなところに座ってね」

という箇所にも現れます。
椅子も何も置いていない部屋に「僕」を案内して勝手に座っていいというのはかなりの加虐的な性格ではないでしょうか。

もう一つ、「ベッドに入る時間よ、でも私は朝に仕事があるの」といって一緒に寝ることを拒否します。僕は仕方なく、バスルームに行って寝ることになってしまうのです。こんな身勝手な女はないでしょう。「僕」の期待はもろくも打ち砕かれるのです。

こう考えると、最初に「彼女のほうが僕を引っかけたといってもいいのだが」というのも、最初から引っかけてやろうと思ったという解釈もできます。

lit a fire

“lit”は”light”の過去形で、文字通りに解釈するなら「火を点けた」でしょうが、ここもいろいろな解釈が考えられます。

ノルウェー製の木材でできた部屋なので、「部屋に火を点けた、(燃えているのを眺めて)素晴らしい眺めだ、ノルウェー製の木材が燃えるのは」などと、部屋全体を燃してしまうというもの。

「(寒いから)暖炉にノルウェー製の木材に火を点けて放り込んだ」
「ノルウェー製の家具を燃した」
「タバコに火を点けた」

など、多くの訳が考えられますが、ここは素直に「火を点けた」だけにとどめておき、後は想像に任せることにしましょう。

過去文脈の中の現在形

全体が過去形で書かれた詞のなかに現在形で書かれた箇所が2箇所あります。

Isn’t it good, Norwegian wood
「すごいでしょ? ノルウェー製の木でできているの」

it’s time for bed
「ベッドに入る時間よ」

つまりここは間接話法ではなく、彼女の言った言葉をそのまま書いた直接話法なのです。

2番目の発言はその前が”she said”であり、”she told”ではないことから直接話法とわかります。

1番目は家具がノルウェー製というのが彼女の発言である(僕はその時点でノルウェー製であることを知り得ない)ことからもわかります。

これに対して間接話法の例は

She asked me to stay
「泊まっていってね」

she told me to sit anywhere
「どこに座ってもいいわよ」

She told me she worked in the morning
「朝に仕事があるの」

I told her I didn’t
「僕は仕事がないんだ」

という4箇所に出てきます。

このように過去文脈の中での発言は主に間接話法を使って書くのが普通です。同じように現在完了形で書かれた箇所があります。

This bird has flown
「その小鳥は飛んでいってしまったんだ」

過去のことなのになぜ現在完了で表すかというと、飛んでいった結果が現在に及ぼしている、つまりもう手に入れることができない、というニュアンスを伝えています。ここに「僕」のせっかく誘ったのに思いを遂げられなかったという残念な気持ちが表れています。

YouTube動画でも本記事の内容を解説しています

今回の記事は、こちらの動画「【洋楽で英語学習】ビートルズ ノルウェーの森(Norwegian Wood)で発音・リスニング・英文法をすべて解説【カナ記号・和訳付き】」でまとめていますので、あわせてご覧になってください。

[/youtube

まとめ

シタールの幻想的な演奏と物憂げな歌唱によってまるで靄の中にいるような妖しい雰囲気を感じさせる音楽「ノルウェーの森」。
村上春樹の小説『ノルウェイの森』の題名にも使われて全世界に知られることとなったこの歌ですが、このビートルズの歌の歌詞は古来いろいろな解釈がされてきました。

一つは”wood”を「森」と訳したところ、もう一つは”lit a fire”が何に「火を点けた」のかというところです。
“wood”は森ではなく「木材」なのですが、”lit a fire”はノルウェー産の木材に火を点けたまではいいのですが、木材が果たして何を表すか議論が分かれるところです。

まあ、これらの解釈はそのままそっとしておいて、素直にビートルズの音楽を楽しんだらいかがでしょうか。

ビートルズ特集ページはこちら

英語を話せるようになりたい方へ

当ブログは「b わたしの英会話」が運営しています。

「b わたしの英会話」では、まずは独学をキッカケにスタートしてその後、しっかりと学びたい!ということで、通いはじめるお客様は多くいらっしゃいます。

特に、私たちのスクールでは毎回のレッスンで学んだ単語やフレーズを「レッスンレコード」というオンラインノートに毎回記帳します。クラスの中で、自分にあった単語やフレーズを使った文章を作ってもらって、それを自分の台本代わりにすれば、会話の上達速度も圧倒的に早くなるのでおすすめですよ。

もし、同じように独学に限界を感じ始めている方は体験レッスンで雰囲気を見てみるといいと思いますよ。初回は無料で受けられますので、まずは、雰囲気を見てみたい方にもオススメです。

また、今はまだ体験レッスンは早いかなぁ・・・・。
そんな方は、資料請求だけしておくと後で様々なキャンペーンの特典などありますのでおすすめです。

コース内容及び料金イメージはこちらからダウンロードが可能です
英会話超初心者脱出資料請求

 

私たち、b わたしの英会話では一緒に働くコンシェルジュ職(カウンセラー)ポジションの募集をしています。英語を使った仕事を通じて、自分のスキルを高めてみたい方、接客の好きな方にピッタリのポジションです。応募されたい方は、こちらのリンクをご参照ください。

 

また、当面はオンラインで英語学習をしてみたい。
そんな方のための「わたしのオンライン」コースもおすすめです!
初月わずか550円ではじめられるので、まずはお試し!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です