今回取り上げるのはビートルズの「Help!」です。
「Help!」の歌詞にはどんな意味がこめられているのでしょうか?
ここでは歌詞の意味を汲み取る上でキーとなる文法や英単語も含めて、詳しく解説していきます。
「Help!」の作者名義は「作詞・作曲:Lennon–McCartney(レノン=マッカートニー)」となっていますが、主としてジョンレノン作、ポールマッカートニーも一部貢献、というのが実質的なところのようです。
この曲は、ビートルズ出演の映画「Help!」のために書かれたもので、ジョンレノンはビートルズ解散後のインタビューにおいて、ビートルズの曲の中でのお気に入りの1つとして、この曲を挙げています。
リードボーカルはジョンレノンで、他メンバー(ポールマッカトニー、ジョージハリスン)によるコーラスも印象的な一曲です。
ビートルズの「Help!(ヘルプ)」の歌詞・和訳を解説
Help! I need somebody
Help! Not just anybody
Help! You know I need someone
Help!
When I was younger, so much younger than today(※1)
I never needed anybody’s help in any way(※2)
But now these days are gone and I’m not so self-assured(※3)
Now I find I’ve changed my mind, I’ve opened up the doors(※4)
Help me if you can, I’m feeling down(※5)
And I do appreciate you being ‘round(※6)
Help me get my feet back on the ground(※7)
Won’t you please, please help me?(※8)
And now my life has changed in oh so many ways
My independence seems to vanish in the haze
But every now and then I feel so insecure
I know that I just need you like I’ve never done before
(※5)~(※8)repeat
(※1)~(※4)repeat
(※5)~(※8)repeat
Help me, help me, oh
これを直訳に近い形で和訳するとこのようになります。
助けて! 僕には誰かが必要だ
助けて! ただ誰でもよいというわけではないけれど
助けて! わかるだろう 僕には誰かが必要だ
助けて!
今よりもっとずっと若かったとき(※1)
僕は誰の助けも決して必要ではなかった(※2)
しかし今やこうした日々は過ぎ去っていて 僕はそれほど自信のあるものではなくなっている(※3)
今僕は自分の心が変わったことに気付き 僕はドアを開けた(※4)
君にできるなら僕を助けて 僕は落ち込んでいる(※5)
そして君が周りにいることに本当に感謝する(※6)
僕が地に足がついている状態に戻すのを手伝って(※7)
どうかお願いだ お願いだから僕を助けて(※8)
そして僕の生活は あぁ 非常に多くの点で変わった
僕の自立性は煙の中へ消えるように見える
しかし時々とても不安を感じる
今までに決してなかったぐらい僕にはただ君が必要なんだと僕はわかっている
(※5)~(※8)繰り返し
(※1)~(※4)繰り返し
(※5)~(※8)繰り返し
僕を助けて 僕を助けて おぉ
ビートルズの「Help!(ヘルプ)」の曲タイトル・歌詞の意味を解説
まず曲タイトルの「Help!」です。
「Help」は「助ける」という意味の動詞ですが、「!」がありますし、歌詞中では命令文として使われているので、曲タイトルの方も「助けて!」とするのがよいでしょう。
続いて、歌詞本文のポイントとなる部分について解説していきます。
“Help! I need somebody
Help! Not just anybody”
1行目で「I need somebody」といって、2行目で「Not just anybody」といっています。
「somebody」(誰か)だけだと、誰でもよいようにも聞こえますが、「Not just anybody」とあることによって、誰でもよいというわけではないことがわかります。
“When I was younger, so much younger than today”
「When I was so much younger than today」とするだけでも通じるように思いますが、言い直しが入っているようなこの表現によって、この歌の持つ焦燥感がより強く表現されているように思います。
“I never needed anybody’s help in any way”
「never」(決して~ない)があることによって、全体が否定文になっています。最後の「in any way」も否定文の中で「決して」という意味に働くので、「never」と意味が重なっているようにとらえられますが、日本語としては両方まとめて「決して」としてよいかと思います。
“But now these days are gone and I’m not so self-assured”
「But now」以降、間の「and」によって2文がつながっている形です。
前半の文にある「these days」という語は、通常「この頃」という意味に使われますが、ここでは文脈から「こうした日々」、つまりその前の文にあった「誰の助けも決して必要としなかった」昔の日々を指すものと考えられます。「gone」は「行ってしまった」というような状態を表すものですが、主語が「these days」ですから、「are gone」で「過ぎ去っている」ぐらいの意味にとらえるのが穏当でしょう。
後半の文は否定文ですが、「not so~」とあるので「あまり~でない」ということになります。最後の「self-assured」は「自信がある」という意味です。
“Now I find I’ve changed my mind, I’ve opened up the doors”
前半、後半それぞれに出てくる「I’ve」は「I have」の省略で、どちらも現在完了形の文になっています。後半の文で突然「doors」(ドア)という語が出てきますが、ここでは比喩的に、いわゆる「心のドア」を意味するものととらえられます。
“Help me if you can, I’m feeling down”
「if~,」の「can」の後ろで「help」が省略されている、と考えると、意味がとりやすくなります。「feeling down」は「落ち込んでいる」という意味です。
“And I do appreciate you being ‘round”
「I~」における「do」は、その直後の動詞「appreciate」(感謝する)を強調するためのもの、「’round」は「around」の省略です。
“Help me get my feet back on the ground”
「me」が「get my feet back on the ground」するのを「Help」して、ということなので、ここでの「Help」は「手伝う」ぐらいにとらえるのがよいかと思います。「get my feet back on the ground」は「feet on the ground」(地に足がついている)という表現がベースになったもので、「my feet」とあるので自分(僕)のこと、「back」がついているので「戻す」という意味が加わります。これらのことから「get my feet back on the ground」全体で「僕が地に足がついている状態に戻す」という意味になります。
“But every now and then I feel so insecure”
「every now and then」は「時々」、「insecure」は「不安だ」という意味です。
“I know that I just need you like I’ve never done before”
「like~」で、どれぐらい「need you」なのかを説明しています。「done」は「do」の過去分詞形で、ここではその前の動詞「need」を「do」で指し示し、それを現在完了形の文に合わせるために過去分詞形にしている、ということになります。「like~」の部分全体で「今までに決してなかったぐらい」という意味になります。
まとめ
アップテンポで親しみやすい曲調ですが、歌詞はかなりシリアスな内容になっていることがわかります。また、英語学習の観点では、知っておくと便利な表現も色々出てくるので、勉強になることも多いかと思います。
聴いたことのない人はぜひ一度、聴いたことのある人も今一度、この名曲を歌詞とともに味わってみてはいかがでしょうか?
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