インプット仮説のやり方を例でご紹介!英語のインプットに使う方法とは?

インプット仮説のやり方を例でご紹介!英語のインプットに使う方法とは?

英語に興味を持って学んでいる人で、次のような悩みを持っている人はいませんか?

  • クラッシェン博士が主張したインプット仮説は、どんな仮説なのか知りたいな
  • 第二言語を習得するときインプット仮説は有効と聞いたけど、課題はあるのかな?

このようなお悩みにお答えします。

インプット仮説とは、簡単に言えば理解可能な英語をたくさん聞く(インプット)ことで、英語の習得ができるというものです。
英語のインプットを増やせば発話が自然に起こると聞けば、インプット仮説についてもっと知りたいという気持ちになりますよね。

この記事では、インプット仮説について公立小中学校で33年間教師をしてきた私がわかりやすく解説しています。
この記事を読むことで、英語をより効果的に学べるようになり、あなたの英語力の向上にも役立ちますよ。

インプット仮説とは何か?

クラッシェン博士の主張したインプット仮説とは、理解可能な言葉のインプットを大量に浴びることで言語は習得されるというものです。
そして、クラッシェンの仮説は5つの仮説から成り立っています。

インプットが第二言語習得に有効な理由、5つの仮説とはどんなものなのかについて紹介します。

クラッシェンが提唱した第二言語習得理論がインプット仮説

最近はビジネスシーンでも「インプット」の言葉をよく耳にします。
「インプット」とは「入力」の意味があり、新しく知識やスキルを取り入れる場面で使われています。

クラッシェンは、人々が母国語を習得する過程で、大量の話し言葉をシャワーのように浴びてきたことに大きな意味があると気づきました。
赤ちゃんを例に説明します。

赤ちゃんは周りの人々からたくさん話しかけられ育っていく中で、自然に話し始めます。
赤ちゃんにとって周りの人々からたくさん話しかけられることが、インプットを大量に浴びている状態と言えるのです。

この例から、私たちが言語を習得する過程で、インプットは重要な役割を果たしているのがかります。
インプットを受けてから発話に至る過程が、学校などで行われてきたそれまでの言語学習の過程とは異なっている点に、クラッシェンは注目したのです。
インプットの重要性について主張したクラッシェンの仮説は、世界の言語教育界で注目を集めました。

5つの仮説から成り立つインプット仮説

クラッシェンは第二言語習得に必要とされる5つの仮説を主張しました。

  1. 習得学習仮説(言語は習得されるものであり、学習では身につかない)
  2. 自然習得順序仮説(言語を習得していく順番は決まっていて、誰でも同じである)
  3. モニター仮説(学習で知り得た知識を使い、発話が正しいかをチェックしている)
  4. インプット仮説(理想的なインプットを大量に浴びる中で、言語は自然に習得される)
  5. 情意フィルター仮説(学習者が安心して学べる環境を整える必要がある)

5つの仮説の中でも、インプットの重要性について説いた「インプット仮説」がクラッシェンの理論の中核となっています。
そのため、5つの仮説の総称として「インプット仮説」と呼ばれています。

英語におけるインプット仮説についてわかりやすく解説

第二言語として英語を学ぶ私たちが、インプット仮説をより効果的に学習に活用するための3つのポイントについて解説しています。
3つのポイントを意識して学習すれば、英語学習の効果がありますよ。

理解可能な英語(i+1)の大量のインプットが必要不可欠

インプットが大切なので朝から晩まで英語の音楽を聞くのが英語力の向上に有効と思う人もいるかもしれません。
結論から言うと、これは効果が全くありません。

学習者にとっての理想的な英語のインプットは、理解可能な英語の必要があります。
メロディが好き、お気に入りの歌手だからという理由だけで、歌詞の意味が分からない英語を何回聞いてもインプットにはならないのです。

クラッシェンの言う理解可能な英語とは、学習者が英語を聞いたり読んだりした場合に、辞書に頼らなくてもなんとか理解できる程度のものを指します。

そして、学習者にとって未習の言葉や文法事項が含まれていてもOKです。
なぜなら、意味がわからない言葉などがあっても、私たちには前後の文脈などから見当をつける力が備わっているからです。

クラッシェンは、学習者の現在の英語力よりも少しだけレベルが高い理想のインプットをアイ・プラス・ワン(i+1)と表現しました。
このような理想的なインプットを大量に浴びることで、英語の習得が起きるというのがインプット仮説です。

コミュニケーションを伴う継続的なインプットが大切

理想的なインプットが起きている場面に注目してみましょう。

赤ちゃんの周りには、赤ちゃんの一挙手一投足に愛情と興味を持ち、繰り返し話しかけている保護者や親近者がいます。

英語の学習者にも、赤ちゃんの保護者にあたるような人の存在が必要と言えます。
こうした環境に身を置いた自分の姿を想像してみてください。
赤ちゃんのように、理解可能な英語のインプットを繰り返し与えてもらったら、何が起こるでしょうか?

相づちを打ったり笑顔を返したり、同じ言葉を繰り返したりする自分の姿が想像できると思います。
やがて短い言葉やジェスチャーなどでも反応しながら、あなたは目の前の人と意思疎通ができるようになっている自分に気づくのです。

アウトプットへの比重が少ないインプット仮説

英語を学ぶ多くの人は、「英語を覚えて、早く話したい」と切実に願っています。
そのために、たくさんの英単語や英文、そして英文法などを覚えるための学習が大切と考えています。

クラッシェンは、このような発話(アウトプットとも言います)を意識した従来の学習スタイルでは言語習得にはつながらないと主張しました。

これまで述べてきたように、学習者のレベルに見合った理解可能な大量のインプットを浴びた結果、言語の習得が起きます。
アウトプットはそうした習得過程の中で、自然に発生するものであるというのがクラッシェンの考えです。

日本語を母国語として習得してきた私たちも、日本語の話し方の練習をした覚えはありません。
「これは私の父です」「日本語は日本で話されています」などの文章を繰り返し口に出して発音練習をした人はいないと思います。

この視点から見ると、アウトプットの練習だけでは英語の習得ができないというクラッシェンの理論には、妥当性があるように感じられます。

英語におけるインプット仮説の課題

次に、クラッシェンのインプット仮説に対する反論について紹介します。
インプット仮説には大きな問題点2つが指摘されています。

  1. 理想的なインプットを用意する難しさ
  2. アウトプットを軽視する傾向

それぞれ一つずつ順番に見ていきましょう。

理想的なインプットを用意するのが難しい

学習者のレベルに見合ったインプットが言語習得には不可欠であるとの考えには、多くの人々が賛同しています。
インプットの有効性については疑う余地がないのです。

しかし、1人1人に見合う理想的なインプットとはどのようなものかについて、クラッシェンは明確にしていません。

実際に学校などの教育現場でも、日々の授業のために(i+1)を意識した理想的なインプットを用意するのは、大変難しい現実です。
生徒の言語能力は1人1人違っていますし、興味を持っている内容も多種多様なものになっているからです。

また、日本の場合には、英語がふんだんに話されている環境が身の回りにほとんどない点も、学習者がインプットを受けにくくなっている原因となっています。

英語のインプットを受け取れる環境が足りないのが、日本人がなかなか英語を習得できない一因と言っても過言ではありません。

 英語を習得するためにはアウトプットする学習も必要

母国語を習得してきた過程を振り返ると、クラッシェンが主張するように発話練習は不要ではないかと感じられます。
しかし、世界各地のインプット仮説の実践結果を見ると、この仮説の有効性について疑問視するデーターが存在するのも事実です。

クラッシェンの仮説に基づき第二言語としてフランス語の習得を目指すクラスと、フランス語を母語とする生徒で編成された普通のクラスとで、7年間の比較研究が行われました。
7年後、フランス語の理解について2つのクラスを比較したところ、次のような結果となったのです。

聞き取りなどの内容理解のテストでは、2つのクラスに差は見られませんでした。
クラッシェンの仮説通り、理想的なインプットは言語理解能力の習得に効果が見られたのです。

しかし、書く能力と話す能力のテストでは、フランス語を母語とする生徒のクラスの方が優秀な結果となりました。
フランス語を母語とする生徒のクラスでは、発表練習などアウトプットの学習が普通に行われていたのです。

インプットを重視するだけではアウトプットにつながらないという同じような検証結果が世界各地で報告されています。
そのため、アウトプットを意識的に練習する学習も第二言語習得の場面では必要であるという考え方が、現在の主流となってきています。

インプットの活用で英語の習得をより効果的に

第二言語を習得するには、理想的なインプットを与えるだけでは不十分であると分かってきました。
とは言え、理想的なインプットが言語習得に有効であるのも事実です。

最後に、日常の英語学習の場面でインプット仮説を取り入れ、英語力をアップさせる技を紹介します。

自分にとって理想的なインプットを探す

インターネットの普及に伴い、現在では理想のインプットとなりうる英語教材が、ラジオやテレビ、YouTubeなどでたくさん提供されています。

それらの中から、自分にとって理解可能で理想的なインプットを探してみるのがオススメです。
インターネットを使って検索したり、学校や英会話スクールの先生に相談したりして見つけるのも良いと思います。

そして、自分で気に入った英語の教材を、聞いたり見たりしてインプットする時間を取り入れていきましょう。

ちなみに私の1番のオススメは、NHKラジオの「中高生の基礎英語 in English」。
理想的なインプットがふんだんに用意されており、インプットしたものをアウトプットする学習展開がよく工夫されているからです。

中学や高校で使った英語の教科書を読む

お気に入りの映画の原作などを英語の原初で読んでみようとした人もいると思います。
しかし、知らない単語が多すぎたり、ページが厚すぎたりして、途中で挫折してしまったという話もよく耳にします。

そこで、オススメなのは中学校や高校で使った英語の教科書。
なぜなら、辞書を使わなくて自分の力でなんとか読める点において理想的なインプット教材と言えるからです。

新鮮味がなく面白くないと感じる人もいるかもしれません。
しかし、「理解できる!」の思いも学習を継続させる立派なモチベーションになります。

学生時代に使用したのとは別の教科書をインターネットで注文する。
本屋で語学講座のテキストを手にとり興味を持てそうなものを選ぶ。

このようにして、よさそうなものを自分で見つけるのもオススメです。

最近の教科書には手軽に使用できる音声教材も用意されているので、聞き取り練習と読む練習の両方のインプット教材として適切と言えます。
理解した事柄について内容を要約してみれば、アウトプットの練習にもなります。

初心者に特化した英会話スクールに通う

最後までこの記事を熱心に読み進めていただいた方にオススメなのは、理想的なインプットを受けられる環境が用意された英会話スクールを探すことです。

ホームページなどでカリキュラムや運営方針などを見て、インプット仮説の考え方をカリキュラムに取り入れた英会話教室を探してみましょう。

体験教室を受けたり、事前に質問したりするのも良い方法です。
英会話スクールの中には、株式会社byZooが運営する「b わたしの英会話」のような初心者に特化したものもあります。

「b わたしの英会話」は、こちらのようなことが魅力です。

  • 今ある知識をどのように思い起こし、日常のシーンにどのように応用するか
  • 文法はすべて私達が中学・高校で学ぶレベルで、英会話初心者の方も安心して学生時代を思い出しながら学べるように作成

学習者の現在の言語能力を大事に位置づけている点は、インプット仮説の考えに通じるものがあります。

また、安心して学習できる環境についても、インプット仮説の中の「情意フィルター仮説」の考え方につながっています。
自分にとって理想的なインプットを探すと、現在の自分の英語学習に取り入れることができそうですね。

まとめ

インプット仮説のやり方を例でご紹介!英語のインプットに使う方法とは?

インプット仮説の考え方を取り入れた環境の中で英語を学ぶことは、英語力を伸ばしたいと思っている人にとって大きなメリットとなりそうです。
自分にとって理解可能なインプットを探し、それを浴び続けることで、英語など第二言語の理解が深まり、習得しやすくなると分かりました。

あなたは、インプット仮説のメリットをどのように英語学習に有効活用していきますか?

英語を話せるようになりたい方へ

当ブログは「b わたしの英会話」が運営しています。

「b わたしの英会話」では、まずは独学をキッカケにスタートしてその後、しっかりと学びたい!ということで、通いはじめるお客様は多くいらっしゃいます。

特に、私たちのスクールでは毎回のレッスンで学んだ単語やフレーズを「レッスンレコード」というオンラインノートに毎回記帳します。クラスの中で、自分にあった単語やフレーズを使った文章を作ってもらって、それを自分の台本代わりにすれば、会話の上達速度も圧倒的に早くなるのでおすすめですよ。

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