今回取り上げるのはビートルズの「Here Comes the Sun」です。
「Here Comes the Sun」の歌詞にはどんな意味がこめられているのでしょうか?
ここでは歌詞の意味を汲み取る上でキーとなる文法や英単語も含めて、詳しく解説していきます。
「Here Comes the Sun」の作者名義は「作詞・作曲:George Harrison(ジョージハリスン)」となっています。
この曲は、ジョージハリスンが友人のエリッククラプトンの自宅を訪れた際に作ったものです。
リードボーカルはジョージハリスンで、演奏面では暖かい日差しを思わせるような音色のアコースティックギターに加えて、独特な雰囲気のシンセサイザーの音にも注目したいところです。
ビートルズ「Here Comes the Sun」の歌詞と和訳をご紹介
Here comes the sun, doo-doo-doo-doo(※1)
Here comes the sun, and I say(※2)
It’s alright(※3)
Little darlin’, it’s been a long, cold, lonely winter
Little darlin’, it feels like years since it’s been here
(※1)~(※3)repeat
Little darlin’, the smile’s returning to their faces
Little darlin’, it seems like years since it’s been here
(※1)~(※3)repeat
Sun, sun, sun, here it comes(※4)
(※4)repeat×4
Little darlin’, I feel that ice is slowly melting
Little darlin’, it seems like years since it’s been clear
((※1)~(※3))repeat×2
It’s alright
これを直訳に近い形で和訳するとこのようになります(「doo-doo-doo-doo」の部分は特に意味がないと思われるため省略)。
太陽が出てきた(※1)
太陽が出てきた そして僕は言う(※2)
大丈夫だ(※3)
小さくて可愛らしい愛しい人よ 今まで長く寒い孤独な冬だった
小さくて可愛らしい愛しい人よ ここに来てから何年も経っているように感じられる
(※1)~(※3)繰り返し
小さくて可愛らしい愛しい人よ 微笑みが彼らの顔に戻ってきている
小さくて可愛らしい愛しい人よ ここに来てから何年も経っているように思われる
(※1)~(※3)繰り返し
太陽 太陽 太陽 出てきた(※4)
(※4)×4回繰り返し
小さくて可愛らしい愛しい人よ 僕は氷がゆっくり解けているのを感じる
小さくて可愛らしい愛しい人よ 晴れてから何年も経っているように思われる
((※1)~(※3))×2回繰り返し
大丈夫だ
ビートルズ「Here Comes the Sun」の曲タイトル・歌詞の解説
まず曲タイトルの「Here Comes the Sun」です。
この文は動詞「Comes(comes)」が主語「the Sun(sun)」よりも先に来ているという、倒置の形になっています。この「Here comes~」という表現で、何かがやってきたことを示す意味になりますが、今回は主語が「the Sun」(太陽)ですから「太陽が出てきた」ぐらいにとらえるとよいでしょう。
続いて、歌詞本文のポイントとなる部分について解説していきます。
“Here comes the sun, and I say
It’s alright”
「alright」は「all right」とも表記され得るもので「大丈夫だ」という意味です。「Here comes the sun」(太陽が出てきた)、だから大丈夫だ、と言ったものととらえられます。
“Little darlin’, it’s been a long, cold, lonely winter”
「Little darlin’」の「Little(little)」には「小さい」という意味だけでなく、「小さくて可愛らしい」といった意味があります。ここの「Little」は「darlin’」(愛しい人)に対してのものですから、後者の「小さくて可愛らしい」の方がよく合うかと思います。この「Little darlin’」全体で、相手に対する呼びかけの表現となっています。
「it’s been~」の「it’s」は「it has」の短縮形で、現在完了形の文になっています。ここでは、つい最近まで「a long, cold, lonely winter」(長く寒い孤独な冬)が続いていたために、継続の意味を持つ現在完了形を用いていると考えられます。和訳時にこの「つい最近まで続いていた」というニュアンスをはっきり出すためには、訳文中に「今まで」という語を入れるとよいでしょう。
なお、ここの「it」は季節、天候などについて述べるときに使われる形式主語であり、「it」自体に意味は特にありません。
“Little darlin’, it feels like years since it’s been here”
ここの「it」も特に意味はなく、全体の状態を漠然と述べるために使われているものととらえられます。
「years」は年数の多さを示すための表現です。「feels like~」は「~のように感じる」ということですが、ここでは主語が「it」なので、「感じる」というよりは「感じられる」という、やや婉曲、間接的な表現の方がしっくりくるかと思います。ですので、「it feels like years」で「何年も経っているように感じられる」ぐらいにとるとよいでしょう。これは、今までが「長く寒い孤独な冬だった」(前の文の内容)ことを受けてのものととらえられます。
「since」以降の部分は「いつからなのか」を説明する部分で、「it’s been」(=it has been)とあるので、現在完了形の表現です。内容としては、過去のある時点にここに居る状態になって(=ここに来て)、それが現在まで続いていることを示しています。
“Little darlin’, the smile’s returning to their faces”
「the smile’s」は「the smile is」の省略、「returning to」は「return to」(~のところに戻る)の進行形表現です。「their」は「彼らの」ですが、この文の前までで特に複数の人々は登場していないため、誰を指しているのか気になるかもしれません。しかし、ここは漠然と周りの人々を指しているものと考えてよいかと思います。自分たちの周りにいる人々の様子を見て語っているのでしょう。
“Little darlin’, it seems like years since it’s been here”
後半の文は前に出てきた「it feels like~」と似ていますが、「feels」が「seems」に変わっています。「seems」(原形は「seem」)は「~のように思われる」という意味です。「何年も経っているように思われる」(it seems like years)のは、「長く寒い孤独な冬」の間、人々の微笑みを見ていなかったからでしょう。
“Sun, sun, sun, here it comes”
「here it comes」と、「here」が前には来ていますが、「it」(主語)、「comes」(動詞)の語順ですから、倒置ではありません。ここの「it」は「Sun(sun)」を指しているととらえて、意味は問題なく通じます。また、この場面においては特に、「ここ」の話をしていることが明確ですから、和訳文の中で「here」の「ここに」という意味はあえて明示しなくてもよいかと思います。
“Little darlin’, I feel that ice is slowly melting”
「that~」の部分で「feel」(感じる)の内容を示しています。「melt」は「解ける」という意味です。
“Little darlin’, it seems like years since it’s been clear”
最後の「clear」は「晴れている」という状態を表す形容詞です。この文の「it」も特に何か具体的なものを指すわけではありません。「it~」の部分で「晴れてから何年も経っているように思われる」という意味になりますが、さっき太陽が出てきたばかりなのに、なぜそのように思われるのか、少し疑問に感じるかもしれません。この疑問に対する答えは歌詞の中で述べられているわけでもなく、はっきりとはしませんが、全体の流れからいって、今は太陽が出てきて、もうすっかり「長く寒い孤独な冬」が遠い過去のもののように思われてきたからでしょう。
まとめ
歌詞については、繰り返し部分が多く、文の種類としてはそう多くはないため、想像の余地もそれなりにあるかと思います。聴いたことのない人はぜひ一度、聴いたことのある人も今一度、この名曲を歌詞とともに味わってみてはいかがでしょうか?
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