- 英語をもっと速く読めるようになりたい
- 単語は結構覚えたのに、読むスピードが上がらない
- 英語を速く読むためにいい方法はないかな
こんな悩みを抱えていないでしょうか。
英語が速く読めるようになったら、勉強の効率も上がりますよね。
そこでおすすめなのが「スラッシュリーディング」という読み方です。
この記事では、高校英語教師として9年間、スラッシュリーディングを教えてきた筆者が、実体験に基づいて、スラッシュリーディングのメリット・デメリット、やり方についてお伝えします。
おすすめの教材もあわせてご紹介するので、ぜひご一読ください。
英語を速く読めるようになりたい方に、必見の内容となっています。
スラッシュリーディングとは?
最初に、スラッシュリーディングとはどういう読み方なのか、解説します。
スラッシュリーディングとは、英語を意味のかたまりごとにスラッシュで区切り、前から読んでいく読み方です。
例文を見てみましょう。
私はわからない / いつ彼が到着するか / 東京に
不自然な日本語だと感じるでしょう。
でも、これが本来の英語の語順なのです。
スラッシュリーディングでは、英語の語順のまま、文意を把握します。
英語の語順のまま読んで、意味を理解する習慣を身につけることで、「英語脳」が作られます。
スラッシュリーディングの効果と弊害は?
スラッシュリーディングを実践して、「英語脳」が鍛えられると、さまざまなメリットがあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
スラッシュリーディングの効果
スラッシュリーディングの効果は、大きく2つです。
- 英語が速く読めるようになる
- リスニング・ライティング・スピーキング能力の向上にもつながる
それでは順番に解説します。
1.英語が速く読めるようになる
前から後ろへ、英語の語順のまま読んでいくため、英語が速く読めるようになります。
例文を見てみましょう。
学生たち / 80点以上取った / テストで / 申し込める/ 奨学金に
慣れるまでは、日本語の意味が取りづらいでしょう。
意味を理解するコツとして、区切った後、次に来る情報を予測していくとよいです。
学生たち→「どんな学生たち?」→80点以上取った→「何で80点以上取った?」→テストで→申し込める→「何に?」→奨学金に
このように、区切った後に「どんな?」「何に?」と疑問を入れていくことで、次にくる情報を予測できるようになり、意味を理解しやすくなります。
この訓練によって、読むスピードが上がっていきます。
2.リスニング・ライティング・スピーキング能力の向上にもつながる
スラッシュリーディングは、リスニング・ライティング・スピーキング能力の向上にもつながります。
リスニングは、スラッシュリーディングの読み方の「音声版」です。
英語を読む時に、英語の語順のまま理解することで、リスニングでも同じ順番で英語を理解できるようになってきます。
また、スラッシュで分けた意味のかたまりを、英語の語順を意識してアウトプットすることで、ライティングやスピーキングにも応用できます。
例えば「向こう側で走っている少年」という日本語を英語にしてみましょう。
スラッシュリーディングで、英語の語順のまま理解することに慣れていると、英語では
少年→「どんな少年?」→走っている→「どこで?」→向こうで
という語順になることがわかり、
というかたまりを作れるようになります。
英語のかたまりを組み合わせることで、1つの文が出来上がります。これをアウトプットしたものがライティング、スピーキングです。
スラッシュリーディングを実践することで、リーディング以外の英語力の向上にもつながっていくのです。
スラッシュリーディングの弊害
効果の高いスラッシュリーディングですが、デメリットがないわけではありません。
- スラッシュを入れないと英語を読めなくなる
- 内容が難しい英語は、スラッシュリーディングで意味が取れないことがある
- 文法知識がないと誤読することがある
効果的なスラッシュリーディングを実践するために、デメリットを把握して、その対処法も確認していきましょう。
1.スラッシュを入れないと英語を読めなくなる
スラッシュリーディングの習慣をつけると、スラッシュなしでは英語が読めなくなることがあります。
TOEICテストでは本文の書き込みが禁止されています。また、リスニングで、音声にスラッシュを入れることはできません。
スラッシュリーディングはあくまで、英語の語順のまま理解し、「英語脳」を作る手段だということを忘れないでください。
対処法としては、スラッシュを入れて英語を読んだ後、その英語をスラッシュなしでも読むようにしましょう。
その際に、スラッシュがなくても、かたまりごとに意味を理解する意識をもって、読んでください。
2.内容が難しい英語は、スラッシュリーディングで意味が取れないことがある
複雑な英文構造を理解するには、スラッシュリーディングが効果的ですが、英文自体の内容が難しい場合、文意がわからなくなることがあります。
そのような難解な英語は、きれいな日本語に訳して読んでも、難しいものです。
対処法は、「自分の英語レベルにあった教材で練習していくこと」です。
自分のレベルに合った教材で勉強し、実力がついてくると、内容が難しい英語であっても、だんだん意味が取れるようになってきます。
読解力が自然と向上してくるからです。
また、内容がそれほど難しくなくても、全体の文意がわかりにくい場合もあります。
スラッシュリーディングは、1文1文の意味のかたまりに視点が集中するからです。
読んでいてわかりにくいと思った場合は、段落ごとに立ち止まって、内容の整理をしながら読むのがおすすめです。
3.文法知識がないと誤読することがある
下記の英語は、文法知識がないと2通りの読み方ができてしまいます。
私は見つけた / この教科書を / 簡単に
私はわかった / この教科書が / 簡単であると
この英語は「find O C」という構文です。
「OがCであるとわかる」という意味になりますので、後者の解釈が正解となります。
スラッシュリーディングとあわせて、文法知識も身につけることが対処法となります。
スラッシュリーディングのやり方のコツは?区切り方はどうする?
それでは、どのようにスラッシュを入れていけばよいのか、見ていきましょう。
とはいえ、スラッシュの入れ方について、「こうでなければならない」という決まりはありません。
どこに入れるか迷いすぎて、スラッシュリーディングをやめてしまうのはもったいないです。
完璧主義にならず、下記の点をおさえておきましょう。
1.カンマ(,)、セミコロン(;)、コロン(:)、ダッシュ(―)の後
これらの記号があったら、その後にスラッシュを入れてください。
Remember : / You mustn’t enter / this room
覚えておきなさい / あなたは入ってはいけません / この部屋に
2.文中の接続詞、疑問詞の前
文中の接続詞(whenやbecauseなど)と疑問詞(whereやwhatなど)の前でも、スラッシュを入れます。
I think / that he didn’t pass / the exam.
私は思った / 彼は合格しなかったと / 試験に
He doesn’t know / where his son went.
彼はわからない / 息子がどこにいったか
3.前置詞句の前
at the station や in Tokyoなど、前置詞のかたまり(前置詞句)の前でもスラッシュを入れます。
① He arrived / at the station / yesterday.
彼は到着した / 駅に / 昨日
② I think / the woman / in this photo / is my mother.
私は思う / 女性 / この写真の / 私の母だと
女性→「どんな女性?」→この写真の
このように、前にある名詞を後ろの語句が説明するというパターンは、以下の4.~6.にも共通します。
このパターンは非常に多いので、しっかりと覚えておくと、英語の語順についての理解が格段にアップします。
4.文中の不定詞の前
文中の不定詞の前でも、スラッシュを入れてください。
① George went / to Osaka / to meet his friend.
ジョージは行った / 大阪に / 友人に会うために
② You have / a lot of homework / to do.
あなたにはあります / たくさんの宿題が / やるべき
②の例文はa lot of homeworkがどんな宿題かをto doが説明していますね。
たくさんの宿題→「どんな?」→やるべき
という語順です。
5.名詞の後に置かれる分詞の前
現在分詞、過去分詞の前にもスラッシュを入れましょう。
① The man / sitting / at the chair / is my father.
男の人 / 座っている / 椅子に / 私の父です。
② The language / spoken / in Singapore / is English.
言語 / 話される / シンガポールで / 英語です。
①の例文では、The manがどんな男の人なのか、分詞以下が説明しています。
男の人→「どんな?」→座っている→「どこに?」→椅子に
②の例文もThe languageがどんな言語なのか、分詞以下が説明していますね。
言語→「どんな?」→話される→「どこで?」→シンガポールで
日本語の語順とは逆になっていることを意識しましょう。
次の関係詞でも同じです。
6.関係詞の前
関係詞(whoやwhichなど)の前でもスラッシュを入れます。
私の叔母は住んでいた / 家に / 屋根が赤い
関係詞whose以下でthe houseを説明しています。
家→「どんな?」→屋根が赤い
という語順です。
以上がスラッシュを入れる、代表的な箇所です。
スラッシュを入れた後、かたまりごとに何度も音読して、英語の語順のまま意味を理解していくことを意識しましょう。
だんだんと慣れてくるはずです。
最終的には徐々にスラッシュを減らし、なるべく大きな単位で意味が取れるようになると実力はさらに上がってきます。
とはいえ、最初からスラッシュを引くのが大変という方もおられると思います。
そこで、おすすめのスラッシュリーディングの教材を以下にご紹介します。
スラッシュリーディングにおすすめの教材
リスニングの練習にもなるように、CDまたは音声ダウンロード付の教材を取り上げました。
1. 初級者向け(英検4級 / TOEIC300点から)
初級者の方は以下の2冊の中からレベルに合ったものを選ぶとよいでしょう。
いずれも本文の音声ダウンロードが可能です。
・「究極の英語リーディング Vol. 1」
語彙は初級1000語レベルで、平易な英語で書かれています。英語初級者の方には、スラッシュリーディングのトレーニングとして最適な教材です。
「観光地の記事紹介」や「ちょっといい話」、「怖い話」など、面白いトピックを扱っています。
・「究極の英語リーディング Vol. 2」
語彙は初級2000語レベルで、vol1より少し難易度があがりますが、こちらも平易な英語で書かれています。「料理のレシピ」や「エッセイ」、「実話を基にした記事」など、多様なトピックを扱っています。
2. 中級者向け(英検準2級 / TOEIC500点から)
・「究極の英語リーディング Vol. 3」
語彙は初中級3000語レベルで、初級を終え、中級者になった方向けの教材です。
トピックは「歴史ミステリー」や「科学記事」、「心温まる名犬の物語」などを扱っています。
3. 中上級者向け(英検2級 / TOEIC600点以上から)
・英語スラッシュ・リスニングトレーニング 第2版
ニューストピックを扱っており、出てくる単語は少し難しいので、英検2級以上の語彙力がある方向けの教材です。
リスニングの参考書ですが、スクリプトがあるので、リスニングとリーディングを同時に学べます。
先にスクリプトを読んでからリスニングを勉強するという使い方もできます。
まとめ
スラッシュリーディングをやり始めると、最初は、「返り読みした方が速いのではないか」と思うかもしれません。
しかし、訓練を重ねていくと、スラッシュリーディングの方が速く読めるようになります。
スラッシュリーディングは、リーディング以外の英語力向上にもつながる、効果的な読み方です。
スラッシュリーディングを実践して、英語脳を作っていきましょう。
また、英語学習のおすすめ教材については、こちらの「【完全ガイド】大人になってから、英語を無駄なく独学するための教材!」で、分かりやすく解説していますので、あわせてご覧になってみてください。
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