英語の「自動詞・他動詞」の見分け方や違いを英語のプロがやさしく解説

英語の「自動詞・他動詞」の見分け方や違いを英語のプロがやさしく解説

こんにちは!しるしると申します。
医薬翻訳の仕事をかれこれ18年しています。

アメリカ人のオトウチャンと結婚してはや20年、、、現在10歳のムスメをバイリンガル子育て中です。
毎日大好きな英語に触れる楽しい日々を過ごしています!

さて、今日は自動詞・他動詞についてお話しします。

  • 自動詞と他動詞…聞いたことはあるけど、何が違うの?
  • どうやって見分けるのかな?
  • 違いを知ることって重要?

なんて思ったことはありませんか?

おそらく、自動詞・他動詞の使い分けができていなくても会話は成り立ちます。

とはいえ、TOEICなどの試験では頻出の文法問題であり、
そしてなによりも、ナチュラルな英会話を目指すうえで、自動詞・他動詞の使い分けは避けては通れない道といえます。

ネイティブ・スピーカーの耳に、「sound natural=違和感がない」かどうかは、とても大切な要素なのです。
ナチュラルな会話を目指し、ぜひとも自動詞・他動詞の使い分けをマスターしましょう!

この記事では、自動詞と他動詞の違いや見分け方について、詳しく&分かりやすく解説しています。
記事の後半では、自動詞・他動詞両方の使い方がある動詞や、自動詞と他動詞で異なる意味をもつ動詞の一覧を記載しています。

この記事を読んでいただくと、今後、英文を読む際や書く際に、自動詞・他動詞をより意識するようになり、文型をベースに英語理解が深まる大きなきっかけになってくれるはずです!
例文もたくさん紹介しているので、ぜひ参考にしてくださいね。

動詞の用法:自動詞とは?他動詞とは?

動詞の用法として、自動詞と他動詞の2つがあります。
自動詞・他動詞とはいったい何なのか、まずはそれぞれの定義についてみていきましょう。

先に他動詞の定義からみた方がわかりやすいので、他動詞の説明から始めますね。

英語の他動詞とは?

他動詞(transitive verb [vt])は、広辞苑で「その動作が動作主〔=文法上は一般に主語〕以外のものを対象として行われ、それに何らかの影響や変化を及ぼす動詞」と定義されています。

簡単にいうと、他動詞は、うしろに目的語(名詞)を必要とし、その目的語に働きかけて何らかの影響や変化を及ぼす動詞、ということになります。

以下の2つの例文で、他動詞が目的語に働きかける力の流れをイメージしてみましょう。

・They gave $25 to the memorial fund.
 彼らは記念基金に25ドル寄付した。

・I’ve just been visiting a friend of mine.
 私はちょうど友だちを訪ねてきたところです。

英語の自動詞とは?

続いて自動詞についてです。
広辞苑で自動詞(intransitive verb [vi])は「その動作が直接に影響を及ぼす対象を持たない動詞」と定義されています。

自動詞は主語と動詞のみで文がなりたち、目的語を必要としません。

目的語がないので、他動詞のように影響を及ぼす対象がなく、単なる動作を示すことになります。

・She smiled and said, “Good morning.”
 彼女はにっこりして「おはよう」と言った。

・I knocked and knocked but nobody answered.
 何度もノックしたが返事がなかった。

また、自動詞では、前置詞を使うことによって、動作の対象をつけ加えることができます。

・She turned to look at me.
 彼女は振り返って私を見た。

英語の自動詞・他動詞によって分類される基本5文型

英語には、第1文型から第5文型まで5つの基本文型がありますが、下の表のように自動詞・他動詞によって分類されています。
一見、ややこしそうな5文型も、自動詞・他動詞にフォーカスして見てみることで、すっきり整理できるといいですね!

【自動詞】

完全自動詞
主語+動詞(S + V)
第1文型
不完全自動詞
主語+動詞+補語(S + V + C)
第2文型

【他動詞】

完全他動詞
主語+動詞+目的語(S + V + O)
第3文型
授与動詞
主語+動詞+目的語+目的語(S + V + O + O)
第4文型
不完全他動詞
主語+動詞+目的語+補語(S + V + O + C)
第5文型

目的語をとらない動詞は自動詞、目的語をとる動詞は他動詞。

さらに自動詞・他動詞はそれぞれ、補語をとる場合は不完全動詞、とらない場合は完全動詞に分類されます。

ここでは、自動詞型の基本文型「第1文型」と、他動詞型の基本文型「第3文型」にしぼって、いくつか例文をご紹介します。
S、V、Oを意識して見てみましょう。

第1文型(自動詞)

・She became more ambitious as the years passed.
 年を経るにつれて彼女はますます野心的になっていった。

・The baby was sleeping peacefully in her crib.
 赤ん坊はベビーベッドですやすや眠っていた。

第3文型(他動詞)

・The children were opening their presents.
 子供たちはプレゼントを開けていた。

・I bought a few shares in the company.
 その会社の株を少し買った。

間違えやすい英語の自動詞・他動詞

また、下記のように日本語の感覚で区別しようとすると、間違いやすい動詞があります。
注意しましょう。

・We discussed (×discussed about) our plans for the future.
 将来のことについて話し合った。

感覚的にdiscussにはaboutをつけてしまいたくなりますが、他動詞なので前置詞のaboutは不要です。
discussの日本語訳は「話し合う、議論する」なのですが、持つべきイメージは、ターゲットになる話題にアタックするという、まさに目的語に働きかける他動詞のイメージです。

他にも、日本語的な感覚に頼ると間違いやすい動詞をいくつか紹介します。

他動詞と間違えやすい自動詞

hope
・We were hoping for good weather.
 よい天気になるよう願っていた。

object
・Did anyone object to the decision?
 決定に反対した人はいましたか。

apologize
・We would like to apologize for the delay to your flight.
 フライトが遅れましたことをおわび申し上げます。

agree
・Teenagers and their parents rarely agree.
 ティーンエイジャーと親の意見が一致することはめったにない。

complain
・He went to bed complaining of a severe headache.
 彼はひどい頭痛を訴えてベッドに入った。

look
・We sneaked out while she wasn’t looking.
 彼女が見ていないうちにこっそりと出て来た。

listen
・If you listened in class, you might get better grades.
 授業をちゃんと聞いていれば成績が上がるかもしれないよ。

自動詞と間違えやすい他動詞

ask
・I asked him where he lived.
 彼にどこに住んでいるのか尋ねた。

marry
・I’m going to ask her to marry me.
 彼女に結婚を申し込むつもりです。

tell
・If you had told me earlier, I could have helped you.
 もっと早く言ってくれれば助けてあげられたのに。

enter
・He had entered the country illegally.
 彼は不法入国していた。

visit
・I’ve just been visiting a friend of mine.
 私はちょうど友だちを訪ねてきたところです。

reach
・We have finally reached a decision.
 ようやく我々は決定に至った。

approach
・Let’s approach the task from a different angle.
 別の角度からその仕事に取り組んでみよう。

attend
・The law says you have to attend school.
 学校に通わなければならないことは法律で定められている。

answer
・I answered him as honestly as I could.
 彼に対してできるだけ正直に答えた。

英語の自動詞と他動詞の違い・見分け方

ここまでお話ししたように、自動詞・他動詞の違いは「目的語」をとるか・とらないか、ということになります。

見分け方はシンプルではありますが、その手がかりとなる「目的語」については、下記の2点で注意が必要です。

POINT
  1. 目的語は単純な名詞とは限らない
  2. 動詞の直後に目的語がくるとは限らない

それぞれ説明しますね。

目的語は単純な名詞とは限らない

目的語というと、「attend school」のschoolや「discussed our plans」のour plansなど、1~2語くらいの単語から成る名詞というイメージが強いですよね。
けれども、目的語は単純な名詞の形のみではありません。
以下の4つの例をみてみましょう。

① to 不定詞
・We like to watch TV in bed.
 私たちはベッドに寝転がってテレビを見るのが好きだ.
② -ing 動名詞
・How do you like living in London?
 ロンドンでの暮らしはいかがですか?
③ that節
・She didn’t know that Martin was coming.
 彼女はマーティンが来るのを知らなかった。
④ 間接疑問文
・She finally realized what he meant.
 ようやく彼女は彼の言おうとしていることがわかった。

他動詞の直後に目的語がくるとは限らない

2つ目の注意点は、動詞の直後に目的語がくるとは限らないということです。

他動詞と目的語の間に副詞がはさまれることがあるからです。
他動詞のすぐ後ろに目的語がない=自動詞だ!と早合点しないように注意しましょう。

・We planned very carefully how we would climb the mountain.
 その山にどう登るかを我々は慎重に計画した。

・I read somewhere that garlic is good for your heart.
 ニンニクが心臓に良いとどこかで読んだ。

自動詞・他動詞によるニュアンスの違い

目的語をとるかどうか、といった形式上の違いだけでなく、自動詞・他動詞が持つニュアンスの違いについて、人気の文法書『一億人の英文法』(大西 泰斗著)にとてもおもしろい記述があったので紹介します。

後ろに目的語を要する他動詞には、自動詞にはない、「力が対象に及ぶ」強い感触があります。

例えば、

  1. I know Monet.
  2. I know about Monet.
  3. I know of Monet.

日本語の訳はいずれも「私はモネを知っている」ですが、受ける感触は大きく異なります。

1.の「know Monet」が最も深い知識を持っていて、2.の「know about」も「フランスの印象派だな」「光の画家だな」といった知識を持っている感触はあるものの、1.に比べると知識の深度は落ちます。
3.の「know of」にいたっては、「あ~聞いたことあるなあ。
建築やってたんだっけ?」程度になり比較になりません。
知識が直接Monetに及ぶ強い感触が1.の(他動詞の)「know Monet」にはあるのです。

また、shotについても自動詞と他動詞によるニュアンスの違いが書かれています。

  1. He shot the bird.
  2. He shot at the bird.

1.は目的語に力が及ぶ他動詞。
「鳥を撃った」つまり鳥に命中するところまでを意味に含んでいます。

一方2.はただの行為です。
目標を示すatが加わり「鳥をめがけて撃った」となりますが、命中までを意味には含んでいないのです。

他動詞と自動詞のもつ意識の違いがクッキリと浮かび上がりますね。
(引用:『一億人の英文法 すべての日本人に贈る「話すため」の英文法』/大西 泰斗、ポール・マクベイ)

文法の形式的な正解・不正解だけでなく、こういった日本語にさっと訳しただけでは表現できないような、ちょっとしたニュアンスの違いを知ることは、言語学習の醍醐味ですよね!
『一億人の英文法』はそんな、なるほど!と思える記述がたくさんあって、おすすめの一書です。

自動詞・他動詞一覧

最後は、自動詞・他動詞両方の使い方がある動詞と、自動詞と他動詞で異なる意味をもつ動詞をいくつかピックアップしてご紹介します。
動詞は他動詞・自動詞の2つにきれいに振り分けられるものではなく、自動詞・他動詞両方の用法をもつ動詞がとても多いのです。

また、自動詞と他動詞で意味が異なるものもあり、こういった場合にも、自動詞・他動詞を見分けることが重要になるわけです。

それぞれ、例文も記載しているので、参考にしてみてください。

自動詞・他動詞両方の使い方がある動詞

自動詞
他動詞
drink
酒を飲む
(飲み物) を飲む
eat
食べる
(食べ物) を食べる
read
読書する,、本を読む
(本・新聞など) を読む
sell
売れる
~を売る
grow
(子供・動物などが) 育つ, 成長する
(植物・作物など)を育てる, 栽培する
(髪・爪つめ が) 伸びる
(髪・爪) を伸ばす
attend
出席する、通う
(会合・授業など)に出席する

drink、eat、readなどは、もともとは他動詞であったものが、目的語になる語が明白であるため(drink liquar、eat food、read books)、目的語が省略されて自動詞としても使われるようになったものです。

drink
・She doesn’t drink very often.
 彼女はときどきしか酒を飲まない。

・Drink your coffee before it gets cold.
 冷めないうちにコーヒーを飲みなよ。

eat
・They ate in silence.
 彼らは黙って食べた。

・I can’t eat dairy products.
 乳製品は食べられません。

read
・He likes to read in bed.
 彼はベッドで本を読むのが好きだ。

・She was reading a magazine.
 彼女は雑誌を読んでいた。

sell
・His books sell nearly four million copies a year.
 彼の本は年に400万部近く売れる。

・We’re trying to sell our house.
 家を売りに出しています。

grow
・It’s hard to believe how much the kids have grown.
 子供たちの成長ぶりは信じられないくらいだ。

・My mom used to grow roses.
 母は昔バラを栽培していた。

attend
・Please let us know if you are unable to attend.
 出席できない場合はお知らせください。

・60 people attended the lecture.
 60人がその講義に出席した。

自動詞と他動詞で異なる意味をもつ動詞

自動詞
他動詞
run
走る, 出場する
<会社・店など> を経営する
(国) を治める
(イベントなど) を指揮する
stand
立っている
(つらい状況など) に耐えられる, をがまんできる
drive
運転する、車で行く
(車・電車など) を運転する
(人) を駆り立てる
argue
言い争う, 議論する
~と主張する
sleep
眠る, 寝る
(部屋・テントなどが) 〇人宿泊させることができる
run
・He ran all the way to the station.
 彼は駅までずっと走った。

・Many people don’t care who runs the country.
 だれが国を動かそうとかまわない人が多い。

stand
・Smiling, she stood and moved toward me.
 彼女はほほえみながら立ち上がって私の方へ近づいて来た。

・I could barely stand the pain.
 痛みは耐えがたいものだった。

drive
・Shall we drive or take the bus?
 車で行く,それともバスに乗る?

・Loneliness drove him to despair.
 孤独のため彼は絶望した。

argue
・We could hear the neighbors arguing.
 隣の家で言い争うのが聞こえた。

・He argued that a date should be set for withdrawing the troops.
 彼は軍隊を引き揚げる期日を定めるべきだと主張した。

sleep
・The baby was sleeping peacefully in her crib.
 赤ん坊はベビーベッドですやすや眠っていた。

・The villa sleeps four.
 別荘には4人泊まれる。

本記事に記載している例文はすべて『オンライン版ロングマン現代英英辞典』から引用しています。
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ぜひ試してくださいね!

まとめ

英語の「自動詞・他動詞」の見分け方や違いを英語のプロがやさしく解説

いかがでしたか?

自動詞・他動詞の違いは「目的語」をとるか・とらないか、ということで、その基準はとてもシンプルです。
ただ、結局のところ、自動詞・他動詞の両方で使われる動詞はたくさんあり、すべての動詞について自動詞・他動詞に分類して丸暗記しようとするのはナンセンス・・・です。

重要なのは、その動詞がもつ本来の意味を理解して、主語自身がとる動作なのか(自動詞)、他(目的語)を巻き込み作用を及ぼす動作なのか(他動詞)を判断し、文脈の中で理解することです。

最初のうちは、辞書で調べながら感覚(日本語の感覚には頼らない!)をつかみ、例文を読み込んで徐々に身につけていきましょう。

自動詞・他動詞を使い分け、sound naturalな会話に近づけるよう、これからも英語学習をがんばっていきましょう!

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