はっきりさせる
これ、今月の私達のテーマだってよく朝礼で言ってますが
そんなことを思っていたら、身近な所で私の義母を思い出しました。
実は結婚するということが決まったのは、義母の一言。
「あんた、ちゃんと結婚する気あるの?」
でした。
それも、初対面でお会いして5分目くらいでしたでしょうか?
まだ、お茶も飲み始めたばかりの時に(笑)。
今思えば、人生で一番ハッキリさせてくれたのは、昭和一桁代生まれの彼女の言葉だったなぁ
と思います。あの一言がなかったら、結婚してたかも分からないし、この会社も結果としてなかったし、
みんなとの出会いもなかったかも、と思います。
日本の良さとして、あえて、曖昧にしておくことや、相手に対する配慮を、し続けることがあります。これは、私も日本人として世界に誇るべき美徳だと思うし、これからも大事にしておきたい価値観です。
でも、それが通じるのはある程度人間関係が長期的に形成されたコミュニティ内や組織の中でのお話。それが、初対面の人だったり、あるいは、もっと価値観や考え方の違う海外とのやり取りだと、
この日本的な美徳はなかなか分かってもらえず、結局曖昧なままになってしまうことがあります。
逆に、この雰囲気が好きと言ってくれる海外の人は、日本のことを相当分かってくれてる人なんだと思います(うちで働いているレッスン・パートナーの多くはそういう人だと思います)。
だからこそ、海外の人たちとのコミュニケーションではあえて直言しないといけない、
というのは、戦前の日本人まではかなり分かっていたと思いますが、戦後世代はある意味、海外にはその世代の日本人より行く回数も多いけど、意外と分かっていない。
同じ事は初対面の人とのコミュニケーションにも当てはまるかもしれません。
かつての日本人がある程度、こうした、奥ゆかしく曖昧なコミュニケーションでも
良かったのは、仕事やプライベートも含めた国内での付き合いの多くが、こうした長い間保たれていたコミュニティ、つまり、ご近所付き合いが残っている中で行われていました。
だから、初めて会うとはいえ、その友だちの友だちや家族まで容易に遡れるから、
お互いそこまで変なことはしないでしょうし、気を使いあいながらお互いの腹の底も探ることが出来た。
ところが、今は核家族化も進み、一人暮らしになったりする一方で、人の活動範囲は逆に広くなり、
ほんとうの意味で初対面となるわけです。だから、こうした人との関係構築にはこの曖昧さを大事にする精神も少し残しながらも、時にはズバリと言わないといけないことは言った方が良かったりするわけです。
そして、その方が意外とこちらの本心も早く伝わるしそれがかえって誠意あると分かっていただけたりします。
ふと思い出したこれも、小ネタです。
昔、留学していた時、フーさんというすごく頭の良い中国人とご近所さんでした。
彼は、上海の復旦大学という超エリート校出身で、伊藤忠で仕事もしていた知日派で、英語と中国語、そして日本語もかなり上手な方で、私も彼との会話が大好きで、今はとあるアメリカの大学院で教授をされてます。
その彼と私が意見がぶつかったのは、分かりやすいですが戦前のトピック。
日本人は、このことを中国人や韓国人に言われると政治家もビジネスマンもすぐにしゅんとしてしまう。
ただ、当然、日本には日本の当時の理由があって(主に安全保障上)あのような流れになったのであり、日中があの時、戦ったことはもちろん不幸であり残念だし、否がなかったとはいわないけど、満州なんかは中国人じゃなくて別の満州人の国で日本は漢民族の中国本土から独立させようとしたわけです。
だからこそ、日中間の出来事は不幸なことだし、こちらに落ち度があった部分はもちろん、否定もしないけど中国にこそ大きな問題(国共での内戦に日本が第三勢力として介入させられたことや)があったわけだし、なによりも、今の中国こそ、チベットやウイグルを占領し、満州も同化してしまい民族が消え去ってしまい、大問題じゃないか、と、はっきり反論しました。それに、攻めたり攻められたりというのは、世界史では常に隣国同士あるわけで、一方的な加害者や被害者はいないし、それ言ったら、日本だって何度も九州なんか攻められて犠牲者が出たこと、いつまでも言わなきゃいけなくなるけど、
それは大人の対応じゃないからこちらはそんなこと言いもしない、といいました。
その瞬間は、多分、フーさんも日本人にそういうことを言われたことがなかったのでかなり、
カッと来て顔も紅潮してましたが、10分ぐらいやりあってると、不思議なもので、よく分からないけどお互い握手しあって、かえって、仲良くなりました。これは、フーさんも中華思想(中国が宇宙で一番って発想)に浸ってない冷静な大人の中国人だったからかもしれないし、私が現代中国に厳しくても、実は古代中国史が大好きで、何より大の三国志や春秋戦国時代のファンで、どの中国人より遥かにあの時代の中国の思想家や戦略家を知り尊敬している事も知っていたからかもしれません。
もし、この時私がこういう事を言わないで終わってたら、ひょっとすると、
私とフーさんは、曖昧なままの友人というか知人関係で終わってたかもしれません。
話が飛びました。
初めての人、そして、海外の人のようにお互いまだ分かっていない人との
コミュニケーションは、時と場合によりますが、ズバリ言わないと、こちらの本心が伝わらないままコミュニケーションが終わることがあるんだ、ということを覚えておきましょう。
もちろん、このまったりした中に相手に意図を汲み取ってもらったり出来る日本の奥ゆかしさは、
同じ組織内なんかでは大事にしたいものですね。私も、正直、あまりズバズバ言うのは好きではないので、社内くらいは基本、空気で感じて前に進みたいです。
私もこれ書いていて久しぶりにフーさんと会いたくなりました。
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