3つの道徳的水準(LV3になろう)
(コールバーグ/藤井聡さんから引用)
たまたま、仕事で作業中インターネットで京都大学の藤井聡教授の
講演を聴いていたときに、彼がアメリカの心理学者、コールバーグの道徳性発達理論を
引用していました。
この講演は同席していたのが、一色正春さん。
名前を知らない人もいるかもしれないけど、尖閣諸島の衝突事件があった時に
当時の民主党政府にたてついて、Youtubeで映像を公開した海上保安庁の職員さんです。
彼がコールバーグを引用した趣旨は、人間には道徳水準が発達する3つの段階が
あって、一色さんは、その中で3番目の高道徳水準に従って、あえて、政府や組織の内輪の論理ではなく、
日本人として正しい判断を行ったという話でした。
もちろん、ビジネスにも当てはまるので今日は引用しているわけですが、
もう少し、コールバーグの定義を見てみると、人間には3つの道徳水準があり、人の成熟過程で
少しずつこれを3番目の 高道徳水準(後習慣的水準)に近づけるそうです。
コールバーグの道徳性発達理論において想定される3つの道徳的水準
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LV1: 道徳水準(前習慣的水準) 「苦痛」と「罰」を避けるために,道徳的振る舞いを行う段階.
LV2: 中道徳水準(習慣的水準) 実際に存在する社会的な規範や法律に従うことを通じて,道徳的振
る舞いを行う段階.
LV3: 高道徳水準(後習慣的水準) 実際に存在する社会的な規範や法律に従うだけなく,より普遍的な
倫理的原理に基づき,自らの良心から非難を受けないようにすることで,道徳的振る舞いを行う段階.
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LV1は「損か得か」で判断する道徳。
例えば、給料をもらえるから働く、あるいは、罰を受けるのは嫌だから犯罪を犯さない。
そんな、処罰や報酬のシステムによって行動を取る人。逆に言うと、こういう人が大多数の組織や
社会だと、ルールがないと秩序が保てない。
LV2は集団(会社など)や法律、規範に基づいて道徳的振る舞いをする段階。
こういうステージでよく聞くのは、「そういう決まりだから」という言葉ですね。
もちろん、LV1よりはましではありますが、その決まりが更に改善を見いだせる可能性やそもそも間違っている可能性が
あるにも関わらず、ルールだからと杓子定規的に考える人は、言葉を変えると、「ルール通りやってるから何が問題あるの?」と
悪用して解釈する傾向もあります。分かりやすいのが、昨今問題になってる生活保護問題。
法律上は問題ないかもしれないけど、社会の大多数の人がそういう社会になったら・・・。膨大なコストがかかり
恐ろしいですよね。
最後がLV3。これは、昔から保ってきた人々の普遍的な倫理観に基づき自らの良心から
非難を受けないように行動を取れる人。分かりやすく言うと、「卑怯なことはしない」とか
「公の為に自分があるべき姿とは何か」ということを、日々考えながら実際に行動も取れる人。
もし、ここで言う一色さんがLV2だったら、きっと、組織の論理だからと
割りきってあのビデオは世に出ることはなかったでしょう。LV2の価値観で見れば別に間違ってない。
逆に、一色さんは「ルールでは公開してはダメだけど、これは日本人が知るべきだ」と自分の中野普遍的倫理観に
照らしあわせて、職を失うことを覚悟して行動をとったのでしょうね。
私がこの話でもう一つ思ったことは、どのような組織が一番実は強く、そして、
組織維持コストがかからないだろうかということ。
それは間違いなくLV3でしょう。
もちろん、私たちも会社としてやっているので会社のルールはあります。
所謂就業規則というやつです。
でも、そこでダメと書いてるからやらない、と言うことが正しいとなってしまうと、逆に、
そこに書いている枠組みで自分は行動してるから別に問題ない、と、解釈する可能性も出てくる。
所謂、法律では問題ないのだからなんですか?ってやつです。
そうじゃなくて、今の自分の発言や行動って両親や祖父母や尊敬する
先生から教わってきたこと照らしあわせてどうだろう?と考えることが出来れば、大体のことは
答えがはじめから見えています。
もちろん、両親や祖父母だって私たちと同じ人間だから、欠点だってあるし、間違うこともある。
だからこそ、もっと昔の人達が巡り巡って蓄積してきた「良心」みたいなものってのが、本だったり言葉として
残って、それを私たちは参照することが出来るのでしょう。
私だと自分の行動を考えたときに参照するのは、明治時代にあって昔は学校では
当たり前に使われていた教育勅語。戦後、廃止されましたが、80歳以上の人はみんな暗記してると思います
(私は、以前台湾のおじいさんがこの言葉を暗唱してくださったのが印象的でした)。
書いてることはいたくシンプルで、父母に孝行しよう、兄弟仲良くしよう、夫婦は仲むつまじくしましょう、
みたいなものや、他人に博愛の手を差し伸べ、学問を修め、仕事を習い、いざ、危急の事態が生じたら、正義心から
勇気を持って公のために奉仕しましょう、みたいなことです。
あとは、こちらでも紹介したことのあるベンジャミン・フランクリンの12徳。
今、フランクリンの言葉を参照しているアメリカ人もかなり少数派だとは思いますが、あの言葉の中には、
どこか古き良き時代のアメリカ人にあった公共心のようなものを感じさせます。
藤井さんの講演のタイトルは、「日本人の反撃」という話でした。
これは、今の日本社会はLV1と2の合間にいるけれども、みんなが少しずつ頑張って底上げをして
LV3になれば、震災の時に被災地の人が(あえて日本人全員とは書きませんが)見せた公共心が優先する社会や組織が
増えて、より活力が出て世界から尊敬される国になるでしょう。
そんな話でした。
京大の教授ですがこの人、コテコテ関西人なので話がメチャクチャ面白いですよ。
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