なぜ正直者は得をするのか
「損」と「得」のジレンマ(藤井聡さん)
私の大好きな京都大学大学院の工学研究科の教授です。
藤井教授のことを知ったのは、昨年の大震災の直後に国会中継を聴いていた時に
参考人として登場されていて、周りの空気を気にせず、迎合せず、ズバズバ言い切る姿に
「この教授何者やろう(関西弁に戻ってしまいますが)」と思って、彼の発言などを調べていったことがキッカケでした。
ちなみに当社も会社のビジョンの一つにResillient(強靭な)という
キーワードを織り込んでいますが、このレジリエントという言葉は、藤井教授が提言している
「強靭でGDP800兆円の日本」という経済施策の提言にヒントをもらって使っています。
先日も国会で「今の日本が経済を復活させるために行うべきこと」を
慶応大学の某教授と国会内で激論を交わしていました。方法論の考え方の違いなどは
ここでは論議しないですが、少なくともこの人が自分の仕事に命をかけてしているなということは
節々の発言やトーンを見ていると分かります。
「自分の学者生命はおろか自分の全てを賭して」とは学会の反応を
気にする学者は言えないものです。大体の人はそれっぽいことを偽善のふりかけをかけて
キレイには言いますが実は自分の利害を考えてしまう。
そんな藤井先生が執筆されている本の多くはマクロ経済学や土木工学関係が
多いのですが、その中で異色の本が今日のハットしたことのタイトルになっている
(なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ)という言葉です。
細かなことを評論するのは長くなってしまうので割愛しますが、
昔からよく言われる「情けは人のためならず」とか、「損して得取れ」とか、
「正直者が自分の正直を後悔したことは無い」といった先人の経験に基づく考え方を
社会科学的な観点から分かりやすくまとめてくれています。
よく言う、「利己主義」と「利他主義」という考え方がありますが、
その場その場の利害を考えると目先で得をした気になりますが、もし、そういう考え方だけの
集団が出来上がると結局、社会全体がその損を背負うので結局、パイが小さくなり
みんながハッピーじゃなくなってしまう。所謂Fallacy of Composition(合成の誤謬)とか
Prisoner’s Dilemma(囚人のジレンマ)というやつです。
一方、利他主義というのは自分のことだけじゃなく全体のことを考えて
行動を行う。一見、自分がその場では損をするように見える行動ですが、社会全体が
利他的な集団であれば、社会全体のパイが膨らみ全体が得をする過程でみんながハッピーになります。
そんなことを様々な実例を織り交ぜて説明してくれているのが
この本の趣旨でした。
残念ながら今の日本は前者の利己主義が蔓延している気がします。
あまり大きな事を考えることは難しいけど、私たちの組織という小さな社会で考えても
利己主義と利他主義をどう位置づけるかというのは大事です。
もちろん、私たちが考えないといけないのは「利他主義」ですね。
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