「建国の大業は、(中略)着実なる実務の積み重ね
こそが、最適であり、これ以外に方法はない
(大久保利通)
私が尊敬してやまない明治の元勲で実質的な日本の初代総理大臣
(当時は総理大臣ポストがなかったので内務卿)。基本は、毎月1日と16日に青山霊園の
お墓参りに勝手に行ってしまうくらい、尊敬する人物です。
今では総理大臣でも経営者でもトップになる人で尊敬に値する覚悟と資質を持って
仕事に臨む人が少ないですが、大久保の場合はまず、薩摩藩士として倒幕運動に身を投じて幕府を倒しました。
その後は、自分自身が元武士階級であったにも関わらず士農工商制度をなくし、
武士の特権をなくす一方、今までは、社会的な責任を持たないでよかった農工商階級には
徴兵制を導入し、富国強兵を行うと同時に今までの・・・藩という考え方をなくし、
日本国民という概念をもたせ、自由を与えると同時に国を守る責任という考え方を植えこんで
国民国家という概念を持たせた。
正直、彼がいなかったら日本もどこかヨーロッパの国の植民地になってしまって、
しばらく奴隷になっているうちに今頃私たちの名前には横文字が入って、町の名前も
違っていたかもしれない、というくらいのおじさんです(彼自体はかなり濃い外国人顔で
当時としてはかなり長身のカッコいいおじさんですが)。
最後は、日本の為に親友の西郷隆盛までも殺してしまう汚れ役を背負ったため、
士族から恨みを買い紀尾井坂で暗殺されるわけですが、彼の回顧録を読んでいると
既に殺されることまで覚悟して西郷殺しという汚れ役を背負っていた感があります。
その彼の言葉が意外と地味に感じますが、まさにそのとおりだと思うので
紹介しました。
この言葉の前には、実は、
「建国の大業は議論弁舌では成就しない。やりくり算段でもいけない。虚喝も不可である。
まして権謀術数ではどうにもならない」
という言葉があります。
口が上手で要領がよく、上司に取りいったり、時には虚喝で乗り切ろうとするのは
二流の人間のすることで本当に大事なのは、実務の積み重ねだ、と言い切っているところが
寡黙でぶっきらぼうだった大久保らしいです。
とはいえ、大久保の場合は、清濁かなり併せ呑むマキャベリストだったので、
彼の行動を見ていると、虚喝も権謀術数も実はかなり使っています。単身、清(中国)に行き、
ヨーロッパ列強諸国を手玉にとっていた当時東洋のビスマルクと言われていた李鴻章と
単独交渉し、かなり際どいことをしながら日本に有利な条件を勝ち取るため、
イギリスやフランスをうまいこと動かしたりと、権謀術数もかなり使っていて、交渉に負けた
李鴻章は悔しがりながらも、かなり大久保に心酔したそうです。
が、それは自分の全てを明治の日本に注ぐ人間だからこそ許されたnoble rightであって、
それを自分の事だけの為に使う輩を戒めたる為にこの言葉を言ったのでしょう。
(実際、暗殺された時、家族の相続のため財産を調べたら個人で日本の財政が足りない時に
借金して立て替えていたので、財産はなく借金しか残ってなかったそうです。)
その大久保が最後に締めくくっているのが、たゆまない実務の積み上げこそが
大事と言っているのは会社という組織にも当てはまります。
結局、国でも会社でも個人でもやることをやる所が発展し成功するということですね。
この20年くらいは日本も世界も、逆に、大久保が戒めた要領よく今あるところから
とってくる奴が勝ちという風潮で、実際そういう人や本が人気がありましたが、
リーマンショック以降はこの流れも少しずつ是正されて再び、コツコツの大事さを
世界が再確認出来てきたのではないでしょうか。
うちは、常に基本に忠実にです。
「建国の大業は、(中略)着実なる実務の積み重ね こそが、最適であり、これ以外に方法はない (大久保利通)
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