リトル・ダンサー “Billy Elliot”

リトルダンサー

「リトル・ダンサー」は2000年イギリスBBCフィルム製作、日本では2001年に公開されました。

長く舞台の演出や製作を手がけてきたスティーブン・ダルドリーの長編映画デビュー作です。

約2000人の中から選ばれたジェイミー・ベルのフレッシュな演技が話題となり、英国アカデミー賞をはじめ、国内外の様々な賞を受賞。監督はこの作品に続いて「めぐりあう時間たち“The Hours”(2002)」「愛を読むひと“The Reader”(2008)」と、デビューから3作連続でアカデミー監督賞にノミネートされており、最新作の「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い“Extremely Loud & Incredibly Close”(2011)」も本年のアカデミー作品賞と助演男優賞の候補となりました。

またこの作品の公開当時は12歳の少年だったジェイミーは今も第一線で活躍中。

最近ではスティーヴン・スピルバーグ監督の「タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密“The Adventures of Tintin: Secret of the Unicorn”(2011)」で主演しています。

 

 

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◆ Story of “Billy Elliot”◆

1984年イギリス北部の炭鉱町エヴァリントン。
母を亡くした11歳のビリーは炭鉱夫の父と兄、痴呆症を患う祖母と暮らしていた。

時代は炭鉱不況の最中で、父と兄は毎日ストライキに参加している。
ビリーは母が遺したピアノを弾いたり、音楽を聴くことのほうが好きだけれど、父親の命令で仕方なく町のボクシング教室に通っていた。

あるときビリーが通うボクシング教室の隣でバレエ教室が開講されることとなった。
次第にバレエに興味を持つようになったビリーは父親に内緒でレッスンに通うようになる。

そんなビリーに教室を運営するウィルキンソン先生は素質を見出し、ビリーも踊ることに喜びを感じるようになる。
しかしビリーがボクシング教室に通っていないことをしった父親が女の子に紛れて踊るビリーの姿を見て激怒。ビリーはバレエ教室に行くことを禁じられる…

◆ One Point English from “Billy Elliot”◆

Billy: I don’t see what’s wrong with it.
何が間違っているのかわからないよ。

Father: You know exactly what’s wrong with it.
お前は何が間違っているか、ちゃんとわかっている!

Billy: No, I don’t!
いや、わからないよ!

Father: Yes, you do!
いいや、わかっている!

ビリーが父親に内緒でバレエを習っていることがばれ、家に連れ戻された後の二人のやり取りです。
ビリーの最初の台詞

I don’t see what’s wrong with it.
ですが、このitは男子がバレエをすることを意味しています。
男がバレエをするなんて馬鹿げている、今すぐやめろと父親に怒鳴られたビリーが反論する台詞です。
ここでビリーは「見る」という単語“see”を“know”と同じ、「わかる・理解する」といった意味で使用しています。

日本人は「わかる」というとどうしても“know”しか思いつかないことが多いのですが、ネイティブはこの“see” をちょっとした会話でよく使っています。

例えばこんなふうに使います。

Do you see what I'm saying?
私が言っていることがわかりますか?

I see what you mean.
おっしゃることはわかります。

また父親の言葉に“No”と返したビリーに父親は“Yes”で返しています。
日本語にすると

「いいや、お前はわかっている!」
となりますので、日本人の感覚だとどうしても
“No you do!”
と言ってしまいそうですが、そこは日本語と英語の違い!

“You do.”と肯定で返すときは“Yes”、反対に否定の形のときは“No”を用いるのが英語のきまりなんです。
なかなか理解しづらいと思いますので、いくつか例文を見てみましょう。

Aren’t you hungry?
おなか空いていないの?

No, I’m not!
うん、空いていないんだ!

You fancy John, don't you?'
あなた、ジョンのこと好きでしょ?

No, I don't.
いえ、違うよ。

Yes, you do!
いや、絶対そうでしょ!

No, I definitely don't!
いいえ、絶対ないから!

いかがでしょうか?「はい」「いいえ」関係なく、「私は肯定文の話をしてるんだ」、ということを伝えるときには “yes”、「私は否定文の話をしてるんだ」という場合は“no”を用いるのです。

今年「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 “The Iron Lady”(2012)」でメリル・ストリープがアカデミー賞主演女優賞を受賞しましたが、そのサッチャーが首相を勤めていたのがまさにこの「リトルダンサー」の時代。

同じ時代の政治のトップに立つ人間と、権力や時代の流れに翻弄される市民の姿と、それぞれの角度からひとつの時代を見てみるというのはなかなか興味深いことだと思います。
また、この作品にはロンドンや湖水地方などガイドブックに載っているような美しいイギリスの姿はありません。

しかし現在では希薄になりつつある家族の絆や、様々な葛藤を抱えながらも自分らしく生きることを捜し求める人々の姿に、きっと心を動かされることと思います。

Yamolynn

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